建築条件付き土地購入にあたって

築地市場の豊洲移転の延期が表明されました。一方、豊洲市場の建物は既に完成済みで、各方面に波紋が起きているといいます。今回の移転延期は、豊洲市場予定地の地下水や土壌から環境基準値を上回る有害物質が検出された事に端を発するものだと思いますが、莫大な金銭が絡む問題だけに今後の成り行きに注目です。

さて、新築の建物を入手する方法のひとつに、建売住宅と注文住宅の中間にあるものとして、「建築条件付き土地」を購入する方法があります。
建売住宅よりも自由度の高い家が建てられ、注文住宅を建てる場合と比べて土地を探す面倒がない事が最大のメリットです。

良い土地を探して注文住宅を建てるのは、簡単ではありません。
なぜなら、立地の良い土地が市場に出ると、先に不動産業者が取得してしまうのです。
不動産業者は、単に土地を仲介するよりも、土地を仕入れて建物を建てて売った方が利益になるからです。
その結果、条件の良い、お買い得な注文住宅用の土地が市場に流通する事は稀です。

そこで登場するのが「建築条件付き土地」です。
「建築条件付き土地」とは、土地の売買契約とは別に、一定期間内に、売主が指定する建築業者と建築工事請負契約を締結して家を建てる事が条件になっているものです。
売主が指定する建築業者とは、多くが建築業を兼ねる土地売主業者やその子会社、関連会社ですが、他の会社で建てる選択肢がない事が最大のデメリットです。
特定の住宅会社で家を建てる要望がある場合は全くの対象外ですが、比較的条件の良い土地を手早く見つけるのには適した方法です。

建築条件付き土地の注意点

しかし、土地購入者が「建築条件付き土地」の契約内容をよく理解していないと、トラブルになるので注意が必要です。
「建築条件付き土地」の場合は、土地の売買契約書で定められた一定期間内(3か月以内など)に、売主が指定する建築業者と建築請負契約が成立しない場合には、土地の売買契約が白紙解除されるか、初めからなかったものとみなされます。ただし、土地の売買契約と建築工事請負契約を同日に行うことは、違法となるので注意が必要です。(建築確認前の契約のため)
また、建築請負契約を締結するための打ち合わせを行わないまま、一定期間が経過して土地の売買契約が解除された場合には、契約違反に問われる場合があるので要注意です。
土地の買主には、建物についての打ち合わせをする義務が生じるためです。
逆に売主業者側に債務不履行や契約違反などがある場合には、売主が責任を負います。

その他「建築条件付き土地」の注意点は、完全に自由な設計にはならないこともあるという点です。
指定された建築業者が施工できない構造や工法の住宅は、建てられないのはもちろん、あらかじめ作成された数パターンのプランの中から選べるだけだったり、仕様の変更に応じてもらえないなどの場合もあり、トラブルになるケースも耳にします。
どこまで自分の意向を設計に反映してもらえるのか、土地の売買契約を行う前に、しっかりと確認しておく事が重要です。

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