高層マンションの大規模修繕

昨年の9月半ばから始まった自宅マンションの大規模修繕工事が、先月ようやく終了しました。
工期は約7か月間で、ほぼ予定通りでした。
しかし修繕資金が不足してしまうため、分譲当時の長期修繕計画で予定されていた共用廊下の床材の張り替えなど、足場がなくても施工可能な工事は今回の大規模修繕から除外されることになりました。
今回は臨時徴収なしで無事修繕を実施することができましたが、2度目の大規模修繕を行うにあたっては修繕積立金の増額は必須になりそうです。

私の自宅は地上20階建、総戸数275戸のマンションですが、建築基準法上では高さが60mを超える建築物を「超高層建築物」としているため、高さが60m超、または階数が20階超の住居用建築物は超高層マンションと呼ばれることもある様です。
現在は決して珍しくはありませんが、建築当時は20階建てのマンションはそれほど多くなかったため、長期修繕計画が甘かったといえます。

もともと超高層マンションに対する法的な定義はありませんが、一般的に超高層マンションといえば、都心のウォーターフロントに建つ30階建以上のタワーマンションをイメージする方が多いでしょう。

タワーマンション(タワマン)の建築が盛んに行われる様になったのは、容積率が緩和された2000年以降からといわれています。
タワマンは一般的に相続税評価額が実際の売買価格よりも低く評価されるため、資産家の中には相続税対策として購入し賃貸収入を得ている人も少なくありません。

しかし今後たくさんのタワーマンションが大規模修繕時期を迎えるにあたって、多くの懸念材料がありそうです。
タワマンは外壁の修繕を行う際に、高さがあるため低層階を除き足場を組むことができません。
ビル工事で使用される枠組み足場と呼ばれる足場は、以前は原則として高さ45mを超えてはならないとされていました。
現在は独自に荷重計算を行い、足場の強度を検証した場合は45mを超えて設置できる様になりましたが、タワーマンションの場合はさすがに無理でしょう。
ゴンドラを採用することになると思いますが、まだ実際に修繕工事を実施したケースが少ないため、費用がどれくらいかかるのかは未知数です。
施工可能な業者も限られるので、工事価格は業者に主導権があります。

またタワーマンションの工期の目安は、ワンフロアーにつき1か月ともいわれています。
30階建のタワーマンションであれば工期は30か月(2年半)にもなります。
さらにマンションによっては管理費や修繕積立金の滞納も少なくないといいます。

タワーマンションを購入する際の注意点

マンション分譲会社は販売がしやすい様に、分譲時には修繕積立金を少なめに設定する傾向があるため、修繕積立金が足りるかどうかも気になります。
共用部分に豪華なラウンジやジム、プール、機械式駐車場などがある場合には、さらにこれらの維持管理のための高額な費用がかかってしまいます。
修繕資金が不足する場合には各戸から臨時徴収することになりますが、もともと高額な住宅ローンを抱えている人にとっては大きな負担になるでしょう。
タワマンは戸数も多いため、住民の意思決定をするのも簡単ではありません。

また、最初から修繕積立金の段階増額方式を採用している物件もある様ですが、購入する際に見逃しているケースも多いといいます。
修繕積立金が足りなくなる不安材料には、他にも近年の建築費の高騰や消費税率の引き上げなどがあります。

このように、今後多くのタワーマンションが大規模修繕時期を迎える様になると、様々な問題が顕在化する可能性があります。
住宅ローンの低金利が続き、都心部では相変わらず多くのタワーマンションが建築されていますが、購入を検討する際には将来の大規模修繕のことも意識して検討することが大切です。

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