雨漏り診断調査

今年は大型の台風が何度も関東地方を直撃したこともあって、雨漏りの調査依頼が例年以上にありました。
雨漏りの診断は非常に難しい場合があり、原因を究明するまでに長期間を要することもあります。

近年では赤外線サーモグラフィーを使用した調査なども行われていますが、調査費用が高額になり、複数個所の雨漏りの場合には問題解決に至らないこともある様です。
現状ではどんな方法を用いても、間違いのない絶対に確実な方法はない様に思います。

私はリフォーム会社に勤務していた頃から何度も雨漏り調査を依頼され、雨漏り修理を経験しましたが、戸建て住宅で散水試験(水かけ調査)が可能な場合には、この方法が最適だと思っています。

雨漏り調査が難しいワケ・・・・。

雨漏り調査に先立ち、まずは依頼者からのヒアリングを元に、ほかの可能性がないかどうかを検討します。
初めから雨漏りと決めつけてしまうのは大変危険です。
少しでも結露や水漏れなど他の可能性があれば、これらを念頭に置きながら調査を進めることが大切だと思います。

雨漏りの可能性が高いと判断すれば、目視により雨水の侵入口の仮説を立て、実際に水が出るかどうかを確かめるために「水かけ」を行います。
ただし外壁にクラックがあったり、シーリングが劣化して亀裂が入っているからといって、そこから雨漏りしているとは限りません。
よく一般の方から外壁や瓦がひび割れしているので雨漏りが心配という相談を受けますが、外壁や瓦は1次防水です。
1次防水のみが雨漏りを防いでいるわけではなく、2次防水に相当する防水シートやアスファルトルーフィングなどの下葺き材がきちんと機能していれば、すぐに室内に雨水が侵入することはありません。

水かけ調査は基本2名で行います。(水を掛ける人、室内で状況を確認する人の最低2名が必要です。)
また水をかける場所により、足場架けが必要になる場合もあります。

ここで大切なのは水の掛け方です。
水をかける順番を間違えると、たとえ室内に水が出てきても侵入口を特定することができなくなってしまいます。
水かけは雨漏り調査の経験が豊富な人が行う必要があります。
また雨水の侵入口も1か所とは限らないので、水が出てきたからといって水かけを止めずに、慎重に調査を継続して行うことが重要です。

一方、長時間水をかけ続けても、全く水が出てこないことも珍しくありません。
散水する時間や方向、水の量や風向きなどの条件によって、2時間以上水かけしても雨漏りしないこともあるのです。
また、散水終了後1時間ほど経ってから、ポタポタと室内に水が落ちてくることもあります。

基本的に水は高い方から低い方へと流れるので、水の侵入口は雨水が落ちてきた場所よりも高い場所にあるのですが、すぐ近くにあるとは限りません。
雨水が梁や天井裏を伝って、離れた位置から時間をかけて流れてくることもあるためです。

水を掛けた場所や、水が落ちるまでの時間差、漏水量、漏水の色など様々な情報をもとに多くの仮説をたてます。
ここで大切なのは、あらゆる可能性を否定しないことです。
また必要であれば、室内の天井や壁を剥がして再度水かけ調査を行います。

そして雨漏り修理にあたっては、可能性が高いと思われる場所から順番に修繕していくしかないのです。
完全に原因を究明して修理が完了するまでに半年から1年くらいかかることもあります。
時間はかかりますが、これが最も堅実な方法だと思っています。

雨漏りの原因は様々です。
すぐに原因がわかる場合(あきらかにそれが原因とわかる欠陥がある場合)もありますが、とんでもない場所が雨水の侵入口になっていることもあります。
特に数年に1度位しか雨漏りしない場合には、調査の難易度も高くなる傾向があります。
雨漏りを原因とする欠陥住宅裁判も多い様ですが、解決には多くの労力とコストと時間がかかる場合があることを理解して欲しいと思います。

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