住宅かし保険の落とし穴

住宅業界は現在年度末の繁忙期。
先週あたりが忙しさのピークだったかもしれません。
たくさんの引き渡し現場の中には、ドタバタの突貫工事が行われた現場も多いと思います。
施工会社の管理も行き届かず、十分な検査を行う事ができません。
住宅の欠陥が発生しやすいこの時期、引き渡し前のチェックは念入りに行う必要があります。

さて、平成21年10月1日以降に引き渡しされる全ての新築住宅には、住宅かし保険への加入が義務付けされる様になりました。
そこで「瑕疵に対する保険に加入しているので安心です」という説明をよく聞きますが、この保険で全ての欠陥や不具合が保証されるわけではないので注意が必要です。
誤解している方も多い様なので、本日は改めてこの保険についてご説明したいと思います。

かし保険が適用されない部分

かし担保責任保険は、住宅会社または建物の売主が加入する保険です。
そして、かし保険の対象となるのは、構造耐力上主要な部分と雨漏りだけです。
その他住宅で頻繁に発生する欠陥や不具合、手抜き工事は対象外となります。
業者の故意によるずさんな工事、重度の過失がある工事にも保険金が支払われません。

たとえば建物完成後に発生する床鳴りや結露、カビ、設備配管からの漏水事故、建具の建付け不良、床の不陸(傾斜)、振動や、設備機器の取り付け不良、構造に起因しない基礎、外壁のひび割れなどは保険適用外です。

保険が適用になるのは、あくまでも「耐震性能に重要な部分」と雨漏り等を起こさないための「雨水の侵入を防止する部分」のみで、保証会社の検査員による検査範囲もこの部分のみになります。

しかし、住宅のアフターサービス依頼で圧倒的に多いのは、保険が適用されない部分の不具合なのです。

また、完成後にトラブルが発生した時に安価な費用で利用できるとされる「紛争処理制度」も、対象となるのは構造と雨漏りだけで、他の問題では利用する事ができません。
このように住宅かし保険制度では、住宅で発生する多くの欠陥事象が対象外となってしまうのです。

そして保険に加入している住宅が転売になると、新たな買主には保険の継承はできない事になっています。

以上のように住宅かし保険に加入しているからといって、「決して安心できない。」と言うのが正解です。
くれぐれも業者の言う事を真に受けない様にして、住宅のチェックを行う様にして欲しいと思います。
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