あれからもうすぐ6年、震災の教訓

昨日、耐震診断ソフトのメーカーが主催する耐震診断のセミナーを受講してきました。
精密診断の実務を行う際の注意点や耐震補強での評点の上げ方など、今後に非常に役立つ中身の濃い3時間でした。
そして木造住宅は昭和56年改正の新耐震基準では、熊本地震クラスの地震には耐えられないであろう事を改めて実感しました。
最低でも平成12年改正の耐震性能は確保したいものです。

さて、昨年は熊本地震が大きな被害をもたらしましたが、私の記憶に今でも強く残っているのが、忘れもしない2011年3月11日午後2時45分過ぎに発生した東日本大震災です。
当時東京都江戸川区の会社に勤務していた私は、本震の時たまたま事務所にいて、向かいのマンションが今にも倒壊しそうなほど大きく変形しながら左右に揺れているのを目の当たりにしました。
その後、車で現場に向かう途中に余震にあいましたが、道路脇に立つ電柱がグラグラと揺れ、電線が波打つ様子も目撃しました。
震源から離れた東京湾岸でも、非常に大きな被害を受けました。
特に液状化の影響を受けた千葉県浦安市の被害は大きく、たくさんの家が傾き、塀や門扉は倒壊してしまいました。
浦安地区だけでも傾いた家はおよそ6,400棟(マンション含む)あったといわれています。

震災直後には、傾いた家の調査や修理の依頼が殺到し、床が20㎝以上傾いてしまった木造住宅も珍しくありませんでした。
会社の中にも自宅や実家が大きな被害を受けた社員が何人もいました。
またマンションでもライフラインが寸断し、敷地内に設置された簡単な仕切りで囲っただけの仮設トイレで用を足す住民や、公園の池で水を汲む人で溢れていました。
車で外出しようにも、機械式駐車場と道路との間に50㎝もの段差ができていて、車を出す事ができません。

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道路と大きな段差ができた新浦安駅前のエレベーターと傾いた交番

震災の教訓を活かす!

あれからもうすぐ6年。あの時、住宅会社の設計、施工に携わる者は、経験から学び、これらの教訓を活かして震災に強い家づくりをする必要性がある事を誰もが実感したはずです。
しかし、欠陥住宅は一向になくならず、危険な家の耐震補強も思った程進んでいないのが現状です。
また、液状化は二度三度と繰り返し発生する恐れがあるといいます。
6年前にジャッキアップして傾きを修正した家も決して万全ではありません。
再び大きな被害を受ける可能性もあります。
これからは不同沈下で傾いても、ジャッキアップして修正しやすい構造にする事も一つの方法だと思います。

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