2011年3月11日に発生した三陸沖を震源とする巨大地震は、震源から遠く離れた千葉県浦安市にも大規模な液状化被害をもたらしました。全住宅の約半数となる30,000戸以上の上下水道がストップし、地盤が波打ち道路はひび割れ、不同沈下によってたくさんの住宅が目視でもわかるほど大きく傾いてしまいました。
地盤の液状化に対する有効な対策はあるのか
当時私が勤務していた会社が浦安市の近くだった事もあり、家の傾きの調査や沈下修正工事について多くの問い合わせがありました。
液状化は、地下水位の高い砂地盤が振動によって流動しやすくなる現象なので、総面積の約3/4が埋立地である浦安市は大地震の際に液状化被害を受けやすかったのです。
大手不動産会社の大規模分譲地も例外ではありませんでした。
写真は液状化の様子です。
しかし、建物の調査・復旧の相談を受けて現地に行くと、同じ埋立地内でも造成した時期によって被害の程度に大きな差がありました。極端な例では、道路一本はさんだこちら側と向こう側とで被害状況が全く異なる事もあったのです。
もともと地盤の良くない浦安市では、多くの住宅が建築時に地盤改良を行っていたと思われますが、表層だけ改良してもほとんど効果がなかった様でした。そして相談を受けたほとんどの住宅は、コストの問題もあって最も安価な工法であるジャッキアップ工事と埋め戻しを行い傾きを修正しましたが、根本的な解決にはなっていません。地震で一度液状化すると再度液状化しやすくなるといわれているので不安が残ります。
地震で生じる液状化による不同沈下は地盤保証の対象外となります。
地震による地盤の液状化リスクには今後ますます注意が必要です。地盤調査は数多くの実績がある会社に依頼し、的確なアドバイスを得られる様にしたいものです。
そして地盤調査会社から液状化の可能性ありと報告された場合は、どこまで費用をかけて対策をとっておくのかを工務店や住宅会社に任せっきりにせず、第3者の建築士や専門家にも直接相談しておいた方が良いでしょう。
また、液状化は埋立地で発生しやすいといっても、埋立地は海岸だけとは限りません。沼地や池なども含まれるので注意が必要です。地盤調査の結果だけに頼るのではなく、元々その土地は何だったのかを知る事も重要です。自らもできる限りの情報収集を行いたいものです。
万一液状化による被害を受けてしまった場合、例え倒壊する危険がない軽微な傾きだったとしても、傾いた住宅で長く生活していると三半規管に障害が発生して、原因不明の頭痛やめまい、吐き気などの健康被害をもたらす事もあるそうなので、慎重に対策を立てて欲しいと思います。