リフォーム工事価格のカラクリ

先日発生したダウンライト火災。
天井などに設置されたダウンライトが原因となった火災が、今年東京都内で12件発生していて、過去5年間で最大だそうです。
クローゼットなどに収納された布団などの可燃物が、天井に接触した状態でダウンライトを点灯させて火災になるケースが多いといい、衣替えの季節であるこの時期は、特に注意が必要だとしています。
押し入れやクロゼットなどの収納内部にダウンライトを設置するケースは時々ありますが、この様な設計はあまり望ましくありません。
使用する方にも問題がありますが、設計者には、万一誤った使用法をされても事故にならない様な配慮が必要だと思います。

さて、皆さんの中には、家の中の全く同じ修理を依頼したのに、依頼した先によって修理代金に大きな違いがあったという経験がある方もいるかもしれません。
しかし、依頼先によって家の修理代やリフォームの工事代金が異なるのは、決して特別な事ではないのです。

修理代やリフォームの工事代は、職人の手間(人件費)と材料代と経費(交通費等)の合計なので、工務店に所属している知り合いの大工さんに直接修理を依頼した場合の修理代は、大工さんの日当が2万円、材料代が5千円、交通費が2千円とした場合は、27,000円になります。

一方、その大工さんが所属している工務店に全く同じ修理を依頼した場合には、大工さんに支払う27,000円に加え、工務店の利益や事務所の経費なども確保する必要があるので、工務店の粗利益率を20%とすると、修理代は33,750円(27,000÷0.8)となり、6,750円が工務店の粗利になります。

さらに、その工務店が下請け業者になっているリフォーム会社に同じ修理を依頼すると、リフォーム会社が工務店に発注する金額の33,750円が原価になり、それにリフォーム会社の利益と諸経費が加わるので、粗利益率を30%とすると修理代は48,200円前後となってしまいます。(33,750÷0.7)
大工さんに直接修理を依頼した場合と比べると、実に1.8倍近くになってしまうのです。
しかし、実際に修理を行う人も作業方法も全く同じです。
もちろん工務店やリフォーム会社の粗利益率によっては、2倍以上になる事もあります。

リフォーム会社に発注するメリットとは?

こうした事情は、大掛かりなリフォームでも全く同じなので、工務店が500万円で請け負うリフォームが、リフォーム会社と契約すると700万円以上になってしまいます。(大掛かりなリフォームになると、個人の大工さんが直接請け負う事はあまりありません。また仮に請け負ったとしても、全ての工事を自分で行う事はほとんどないので、修理する場合程、金額差は生じません。)
工務店とリフォーム会社を価格競争させて、リフォーム会社に工務店の見積価格で工事を発注すれば、当然しわ寄せは大工さんや末端の職人の手間を圧迫する事になるのです。

しかし、簡単な修理であればともかく、大規模なリフォームになると価格だけでなく、提案力や工事保証、アフターサービスなどが充実していないと安心して任せる事はできないでしょう。

工事価格を優先するのか、提案力や品質管理などを含めた総合的な安心感を重視するのかによって、業者の選定基準が異なります。
もちろん、リフォーム会社に発注する場合には、資金計画の相談や融資の斡旋、リフォームプランの提案、工事の品質検査やアフターサービス体制など、高い工事費に見合うだけの付加価値の高いサービスが受けられるかどうかの見極めが非常に重要になります。

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