住宅の長寿命化が本格的に求められるようになると、現在住宅会社が建築している住宅にも見直しが必要になると思います。
現在の木造住宅には、集成材や合板が使われる比率が年々高まっています。
よく「集成材と無垢材ではどちらが丈夫ですか?」と聞かれます。
集成材の初期強度は、無垢材の約1.4倍と言われています。したがって集成材の方が強いのです。
しかし、集成材で建築された家が丈夫であるとは言えません。
集成材でできた家が丈夫なのは、新築された時です。集成材はいくつかの木片を圧力をかけて接着剤で張り合わせた
人工材なので、出来上がった時からすでに劣化が始まります。10年後、20年後まで新築時の強度を保てるとは思えません。
ベニヤ等の板材、合板フローリングなども同様です。接着材で張り合わせたものなので、徐々に劣化してしまいます。
最近では接着剤の性能が良くなったとは言われますが、20年後の事は何の保証もありません。
一方、無垢材は乾燥する程強度が増し、伐採後100~200年程度では強度がほとんど落ちない事がわかっています。
特にヒノキなどは伐採後200年程は強度が増していくと言われます。
無垢材の方が長持ちする事は間違いありません。
また、同じ無垢材でも蒸気乾燥などで人工的に乾燥させた人工乾燥材(KD材)よりも、天日干しなどの自然乾燥材(AD材)
の方が耐久性があるといわれています。人工乾燥では高い熱を加えて強制的に乾燥させるため、木材の繊維が傷つけられてしまうためです。
しかし、無垢材なら安心という訳でもありません。
大手住宅メーカーなどで使われているホワイトウッド(欧州唐檜)などは、腐りやすい木として木材業者の常識です。
雨漏れや結露があるとすぐに腐食してボロボロになってしまいます。
高温多湿な我が国においては、構造材には使用すべきではありません。
これらの事は、建築関係者ならほとんど知らない人はいないでしょう。ハウスメーカーの営業マンなどが集成材の家の方
が強いと言っているのは、あくまでも新築直後の話なのです。
長持ちする住宅を建てるための住宅会社の使命は?
では何故現在の木造住宅で集成材が多く使われているのでしょうか?
集成材は人工材なので、品質のバラツキがありません。広い空間がとりたい場合など構造計算を行う上でも有利です。
節もないので、和室などで柱を見せる場合も見た目がきれいです。
また、供給も安定しているため入手するのも簡単で、価格も安定しています。
そして一番の理由は、反りや狂い、ひび割れなどが発生しない事でしょう。
住宅会社ではクレームが一番の懸念材料です。無垢材は自然材料なので、乾燥材を使っても多少の狂いやひび割れは避けられません。今まで多くの住宅会社は、長持ちする家よりもクレーム予防を優先して家づくりをしてきました。
無垢材は建築主の理解がないとクレームの対象となってしまいます。
そのため、クレームの要因をできるだけなくしたい住宅会社にとって、無垢材は非常に扱いにくいものなのです。
日本の木造住宅の寿命は27年と言われてきました。今までの様に27年経つと解体してしまうのであれば、集成材で建てた家でも問題ありませんでした。しかし今後住宅の耐久性を一番に考えるのであれば、住宅会社の使命として見直しが必要になるでしょう。