住宅業界の今後の動向

民進党はアベノミクスが失敗し、増税できる状況にはないとして、消費税率引き上げを2年間延期する法案を衆議院に提出したといいます。
一方、麻生財務相は、消費増税は予定通り実施すると米財務長官に伝達したと報道されています。
そして昨日、安倍首相が消費税率の引き上げを再延期する意向を固めたと報じられました。増税時期がいつになるかで、住宅業界も大きな影響を受けます。今後の動向から目が離せません。

私は昨年まで住宅会社に勤務していたため、住宅業界の方々からは反論を受けるかもしれませんが、客観的に見て、経済対策として今後も新築住宅建築に公的資金を投入するのは決して好ましくないと思っています。

政府としては、景気回復の足がかりとして、新築住宅着工件数の増加は重要な課題でしょう。
しかし、大きな災害でも起きない限り、新築住宅の着工件数は今後ますます減少していくのは確実です。住宅はすでに供給過剰で、空き家問題も深刻です。住宅を新しく購入する若い世代の人口も減少し、年収増加も伸び悩む中で、今後も経済政策に後押しされて新築住宅が建ち続けたとしても、単に将来の需要を前倒ししているに過ぎません。
前倒しのツケはどんどん大きく膨らんでいくばかりでしょう。

また、来年4月に予定されている消費税の引き上げが予定通りに実施されれば、住宅会社にとっては今年の9月までが正念場になります。前回の増税の際には、前年の9月末までの駆け込み契約が急増しましたが、10月以降の反動は非常に大きなものになりました。今回の増税前の駆け込み需要も、更に前倒しのツケを大きくするだけです。
そして、今回の増税後の反動による落ち込みは、前回以上に長期化する可能性もあると言われています。9月までの勝負に敗れた会社は、経営的に極めて厳しい状況になるでしょう。

今後生き残る住宅会社と衰退する住宅会社

大手ハウスメーカーなどは、数年前から既にこの様な事態に備えて、住宅リフォーム事業に注力しています。営業戦略の見直しやリフォーム事業への人員のシフト、OB客の囲い込み等を行い、市場の変化に備えてきました。
現在、リフォーム売上高のランキング上位は、リフォーム専門会社を抑えて、ほとんど大手ハウスメーカーが占めています。

目先の利益にばかり拘って、近い将来確実にやってくる新築住宅の受注件数の落ち込みに備えた、体質改善や組織変更、営業戦略の見直し等の対策に立ち遅れた住宅会社の経営者は、今後更に厳しい局面を迎えることになりそうです。将来的にはハウスメーカーや住宅会社も統合されていく事になるのではないでしょうか。
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