軽視できない石膏ボードの釘・ビス間隔

今日から8月。
長い梅雨が明けて、いきなり猛暑になりましたが、この暑さで体調を崩してしまった方も少なくないと思います。
現場で働く方は、熱中症にはくれぐれも注意して欲しいと思います。

さて、弊社では主に中古住宅、中古マンションの住宅診断(ホームインスペクション)を行っていますが、時々新築住宅の完成検査を依頼されることがあります。

近年の新築住宅では、室内の壁下地(仕上げのビニールクロスの下)のほとんどに「石膏ボード」が貼られています。
そして石膏ボードを留め付ける釘やビスの種類や長さ、間隔などには規定があり、同じ木造住宅でも在来軸組工法と枠組壁工法(2×4工法)とでは規定が異なります。
たかが下地の石膏ボードを留めるビスや釘と思われるかもしれませんが、規定通りに施工されていない場合には設計上の耐震強度が確保できなくなる可能性が高いため、新築住宅の検査では釘・ビス間隔の確認は是非行っておきたいチェック項目のひとつです。

特に耐力壁と呼ばれる構造耐力上主要な壁においては、釘やビス間隔のチェックが重要です。
しかし建物が完成してしまってクロスが貼られた状態だと、通常では釘やビスの位置を確認することはできません。

完成現場で釘やビスの間隔を簡単に測定する方法

本来、釘やビス間隔の確認は工事中に行うべきものですが、工事中の検査が行われていない場合には、一度は確認しておく必要があります。
完成検査で釘やビスの間隔を確認するためには、金属探知機などの機材を使用して確認する方法がありますが、特殊な機材を使わなくても誰でも簡単に確認できる方法があります。

弊社ではホームセンターや100円ショップ、ネット通販などで販売されているネオジム磁石と呼ばれる直径1cm程度の磁石を使用して調査を行うようにしています。
この磁石を壁にあてがいながら少しずつずらしていくと、釘やビスがあるところで吸着します。
強力な磁石なので、壁紙が貼られていても釘やビスの上でピッタリと貼り付きます。
これを何度も繰り返して行う事で、釘やビスの位置を確認することが可能です。

室内の全ての壁を確認する事はできませんが、数か所調査を行って規定よりも間隔の広いところが数多く見つかれば設計上の耐震性能が確保できていない可能性があるので、そのような物件では他の部分もより注意深く調査を行う様にします。

一般の方でもネオジム磁石を購入すれば自分で確認することができるので、是非試してみることをオススメします。
ここでは代表的な工法ごとの壁の釘・ビス間隔を下記に示しておきます。

■ 軸組在来工法の場合
  耐力壁(告示仕様): 釘間隔      外周部150mm以下、その他150mm以下
  一般壁:      釘又はビス間隔  外周部200mm以下、その他300mm以下

■ 枠組壁工法(2×4工法)の場合
  全ての壁:     釘又はビス間隔  外周部100mm以下、その他200mm以下

ビス間隔が上記の規定よりも広くなっている物件は時々見受けられます。
石膏ボードを仮止めしたままの状態で打ち忘れてしまうケースや、明らかに手抜き工事と思われるケースもあるので注意が必要です。
そのような手抜きがある場合には、他にも手抜き工事が行われている可能性が高いといえます。

また、軸組在来工法と枠組壁工法(2×4工法)とでは規定が異なるので、職人が不慣れなために施工ミスが発生するケースも稀にあります。
特に2×4住宅のリフォーム現場では、職人が規定を知らずに施工不良になるケースが多いので注意が必要です。

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ネオジム磁石には様々な大きさのものがありますが、ビス間隔を測るには直径1cm、厚さ2mm程度のものが適しています。
50個1,000円以下で購入できます。

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