築20年以上の中古住宅の床下の調査では、基礎の一部が壊されて穴が開いているのを時々目にします。
上の写真では、鉄筋が切断されていて、他の鉄筋もむき出しになっているずさんな工事の状況がわかります。
白蟻駆除業者が白蟻駆除を行う際に、床下を通行するために開けた穴だと思われますが、少し前まではあたり前の様にこの様な事があちこちの住宅で行われていました。
近年では、震災被害の報道などの影響で、耐震に対する関心が高くなったので、無暗に基礎を壊す様な行為は少なくなった様に思いますが、少し前までは基礎の穴あけは「必要悪」という認識が一般的でした。
白蟻駆除業者は「自分の仕事を完遂するため」にやむを得ず基礎を壊さなければならなかった事情があったにしても、構造上重要な基礎に穴をあけてしまうのは、単なる「無知」では済まされません。
また、この様な穴がある場合は、白蟻予防がきちんと行われていた可能性が高い反面、過去に白蟻被害を受けた可能性も高いので、注意が必要です。
建築現場には、他にも「必要悪」と思えるものが存在しています。新建材や有害な接着剤などを使用するのも、その代表的なものでしょう。以前大きな問題となった杭打ち工事のデーター改ざんや流用も、工期を厳守するための「必要悪」として行われていた可能性があります。
「必要悪」が存在するのは何も建設・住宅業界だけではありません。ギャンブル、アルコール、たばこ、農薬、食品添加物、談合など、世の中は「必要悪」で溢れています。
しかし「必要悪」の名の元に、利益追求に走る業界の体質が改善されない限り、建設・住宅業界のイメージはいつまでたっても良くならないでしょう。