2015年4月27日付日経新聞に「中古住宅の診断を義務化 政府・与党が法改正へ」という記事が掲載されました。もう1年近く前の記事ですが、中古住宅の流通を促進するために、誰でも安心して中古住宅の購入ができる様中古住宅を販売する際には「住宅診断(インスペクション)」を義務付けるというものです。
その中には宅建業法を改正し、契約前に宅建業者が説明する「重要事項説明書」の中に、住宅診断の項目を設けるという内容も含まれている様です。
仲介業者に対しては買主への住宅診断結果内容の説明が義務付けられます。
欧米と比較して我が国の中古住宅市場が活性化しない理由は、住宅の劣化状況や耐久性を第3者が点検・診断して依頼者に報告する仕組みが認知・普及していないので、安心して購入する事ができない点にあります。
昨今では空き家問題が大きな社会問題となっていますが、この問題と中古住宅流通が活性化しない事とは決して無関係ではないでしょう。
義務化される住宅診断は誰がおこなうのか?
現在の中古住宅の取引はほとんどが「現況有姿」で、一般の買主にはどんな不具合や劣化があるのか、今後メンテナンスや改修にどれ位費用がかかるのか等全くわからずに、購入する・しないの判断が求められます。
住宅診断が行われる様になれば買主にとって大きな安心感につながるでしょう。
しかし、大きな課題もあります。
インスペクションは誰がどのタイミングで、誰に依頼し、その費用負担は誰がするのか等です。
販売前に売主や仲介業者が行うインスペクションでは、本来の目的である「買主にとっての安心感」
への効果は薄くなってしまいがちです。事実がきちんと報告されない懸念があるからです。
原則は買主自らが選んだインスペクターが第3者の立場から診断・調査を行う事でしょう。
この「中古住宅の診断義務化」は早ければ平成29年から実施されるという話もある様ですが、具体的にはわかっていません。
早く様々な仕組みやルールをまとめて誰もが安心して中古住宅の売買ができる様になれば、空き家問題も徐々に改善していくはずです。