リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、ついに逮捕者が出てしまいました。
鹿島と大成建設に対しては、今後指名停止などの厳しい処分が下されそうです。
しかし、過去の談合事件では、談合に関与しつつも自主申告を行い逮捕を免れた企業が「漁夫の利」を得た事例もあるため、今後の動向に注目です。
さて、いよいよ来月から宅建業法の改正に伴い、中古物件売買時に「インスペクション(建物状況調査)」に関する「告知」や「斡旋」の説明が義務化される様になります。
しかし、宅建業法でいう「インスペクション(以下建物状況調査という)」は、弊社でこれまで行ってきたインスペクションとは似て異なるものです。
建物状況調査では、主に構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分の劣化事象等の有無を調査して、検査に合格したものに対して「既存住宅売買瑕疵保険」への加入を促す様な内容になっています。
建物状況調査の結果不具合がないか、不具合があったとしても補修を行えば保険加入が可能(ただし保険料がかかります)になります。
しかし物件が古くなれば、当然不具合の発生率は高くなります。
不具合は構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分に限らないので、築年数が経過すれば当然何らかの不具合が生じているのが普通です。
そして、見つかった不具合をすべて補修できれば何の問題もないのですが、当然補修費用がかかるので、依頼者にとっては大きな負担になってしまいます。
依頼者にとって本当に必要なのは、見つかった不具合が緊急性が高いものなのか、数年後に補修すれば良いのか、放置しておいても問題がないのかといったアドバイスや、その補修方法や補修費用、また、依頼主が物件の買主であれば、将来どの位のメンテナンス費用が発生するのかなどの情報だと思います。
宅建業法上のインスペクションを行えば安心か?
一方、建物状況調査を行う事ができるのは、今回国が新たに創設した「既存住宅状況調査技術者」の資格を取得した建築士に限定されます。
しかし、建築士であれば信頼できる調査ができるとは思えません。
調査に必要な調査機材を今まで扱った事がない人や、完成した建物の床下や天井裏に潜った経験のない建築士も多いはずです。
建築士の中には、設計を専門に行っていると「現場に出た事はほとんどない」という人も意外に多いのです。
そしてたとえ不具合を発見したとしても、依頼者にその補修方法や補修費用の的確なアドバイスを行う事ができる人は、ほんの一部でしょう。
インスペクションの目的は、建物の現在のコンデションを把握して購入判断をするだけではありません。
購入予定の建物についてのアドバイスを求める人が多いと思います。
依頼者がホームインスペクションに求めるものは人によって様々です。
発見された不具合は重大なものなのか、補修の緊急性や補修費用はどれ位かかるのか、どのようにして補修すれば良いのか、将来的に建物のメンテナンスにどれくらいかかるのか・・・等インスペクション依頼者が本当に知りたいのは、この様な情報が多いのではないでしょうか。
効果的なインスペクションを行うためには資格も大切ですが、それ以上に過去にどれくらい建物調査を行い、見つかった不具合に対して適切なアドバイスを行った経験があるかどうかだと思います。
弊社では今後も宅建業法上のインスペクション(建物状況調査)とは一線を画したインスペクションを行っていきます。