外壁タイルの剥離

事務所の窓から見える向かいのビルの外壁タイルが、一部剥離しています。また、建物最上部には横一列にクラックが入っているので、周辺のタイルはかなり浮いていると思われ、今にも落下しそうで心配です。(写真)
5階建てのビルなので、万一歩行者の頭の上にでも落下したら、無事で済みそうにはありません。
建物のインスペクションを行っていると、見た目にはわからなくてもタイルが浮いて危険な状態になっている事は珍しくありません。

近年、外壁タイルの落下事故が数多く報告されています。特にALC版にタイルを貼った場合に落下する事が多い様です。剥がれの原因は、ALCに吸い込まれた水が凍る事によるものです。タイル目地のモルタルから雨水が侵入してALCまで浸透し、凍害を受けてタイルが剥離してしまいます。
またALC版にも目地があり、目地をまたいでタイルを貼った場合にも剥離の原因になります。  
 ※写真の建物は鉄筋コンクリート造です
もともとALCとタイルの相性は良くないものです。それぞれの特徴を良く理解しないでデザインを優先して安易に設計すると、後で後悔する事になってしまいます。
ALC版に施工したタイルに浮きや剥離が見られる場合は、広範囲に渡る事が多く、修繕費用も高額になります。戸建て物件にもALCにタイルを貼った物件がありますが、購入する場合は注意が必要です。CIMG0699

外壁タイル貼の建物の問題点

一度剥がしたタイルは再利用できません。貼り換え用のタイルの保管がない場合は、近似の別のタイルで補修するしかありませんが、既存部分と色や凹凸が微妙に異なり、見栄えが悪くなってしまいます。
しかし、タイルが割れ、剥落する事故が発生する前に、早急に補修を行うべきです。そのまま放置しておくとさらに雨水が侵入して、剥離の範囲が広がってしまう恐れがあります。

また、目地が深目地(目地にくぼみを残したもの)になっている場合も、雨水が滞留しやすく、外壁下地に湿気を帯びさせて不具合が生じやすくなるので要注意です。
ホームインスペクションでは、目視と打診棒と呼ばれる器具を使ってタイルの浮きを調べます。

全面タイル貼の建物は、見た目は高級感がありますが、設計上の配慮不足や施工不良があると、将来のメンテナンスに高額な費用がかかるので注意が必要です。

千葉市のホームインスペクション専門会社匠住宅診断サービスTopへ戻る