中古住宅の購入を検討していると、「全面リフォーム済み」などと表示された物件に目を惹かれます。
中古住宅とは思えない程見た目が綺麗で、購入後に自分でリフォームする手間がかからず、資金計画も立てやすいのが魅力です。
自分の好きな様にリフォームする事はできませんが、特に大きなこだわりがなければ、新築の建売住宅を買うよりも得する感じがします。
最近では、不動産業者が売主から物件を買い取って、リフォーム後に販売しているものも少なくありません。
しかし、この様な物件を購入する場合には、注意して欲しい点があります。
不動産業者には建築の専門家がいない事が多いので、リフォームする際にはリフォーム会社や工務店に工事を丸投げして、利益だけ上乗せして販売しているケースがほとんどです。そして販売予定金額から逆算してリフォームの予算を組むので、リフォームの内容は耐震性や断熱性などの建物の基本性能部分より、内装や住宅設備機器などの見た目が優先されてしまいます。かつて雨漏りがあって、雨漏り修理は行っていても、傷んだ構造躯体はそのままだったり、表面は新築の様に見えても、目に見えない内装下地や配管等はボロボロなんていう事もあるかもしれません。
また、施工の品質検査なども行われない事も多く、施工業者に任せっきりで、リフォーム費用も不動産会社の利益が上乗せされている分、自分でリフォーム会社に依頼するよりも割高になる傾向があります。
特に、築年数のたった全面リフォーム済みの物件には注意が必要です。2~3年後に漏水が発生したり、白蟻被害が見つかって補修工事に予定外の高額な費用が発生したなどという事にもなりかねません。保証期間が過ぎたとたんに、あちらこちらで不具合が発生したなどというケースもあります。
全面リフォーム済みの築古物件を購入する際には、専門家によるホームインスペクションは必須!
中にはきちんとリフォームされたお買い得物件もあるかもしれませんが、専門家でないとなかなか良い物件かどうかの判断はできません。
購入を検討する際には、第3者の専門家による調査が不可欠です。
中古住宅を購入する場合は、私はリフォーム前の物件をお奨めしたいと思います。資金計画が立てにくい、引っ越しまでに時間がかかる等のデメリットはありますが、リフォーム前の状況を専門家に調査してもらい、調査結果を元に自分でリフォーム会社に依頼して工事を行った方が絶対に安心です。工事中の様子を直接自分の目で確認する事ができます。また、内装や間取り、住宅設備機器なども自分の好きな様に選ぶ事もできます。
多少手間がかかっても、住宅は長期の住宅ローンを組んで購入し、長く使うものです。将来に渡って安心して住める事が何よりも大切だと思います。