排水管の勾配不良

水は高い方から低い方に流れるので、排水管に勾配をつけるのは皆さんご存知の事と思います。
勾配が不足していたり逆勾配になっていると、排水の流れが悪かったり、排水管の中に排水が滞留して後々詰まる原因になってしまいます。
そんな事は当たり前の事なのですが、ホームインスペクションを行っていると排水管が正しい水勾配で施工されていない事は珍しくありません。
特に水廻りをリフォーム済のマンションでは、リフォーム工事による排水管の勾配不良をたびたび見かけます。

排水管の太さ(管径)は建物の種別や排水機器の種類によって最小寸法が決められています。
マンションの洗面器や洗濯機などは50mm以上、流し台や浴槽は65mm以上、大便器は75mm以上です。
そして排水横管の勾配は、管径によって決まります。
管径65mm以下なら1/50以上、75mm、100mmの場合は1/100以上、125mmの場合は1/150以上などです。
(管径が大きくなる程必要となる勾配は緩くなります。また勾配は急な程良い訳でもありません。)

マンションの水廻り位置を変更する場合には、排水管の勾配不良に注意が必要!

しかしリフォームで水廻りの位置を大きく変更した場合などは、適性な勾配がとれていない事が多いので注意が必要です。
適性な勾配がとれていなくても最初のうちは排水されますが、使用しているうちに徐々に問題が発生する可能性が高くなります。
特に床下の空間が少なかったり、排水横管を接続する共用竪管の接続高さが決まっている事の多いマンションのリフォームの場合は、水廻りの位置を変更する際に無理な施工を行っている事が多いので、十分にチェックする必要があります。
また2つの排水横引管を合流させる際に、T字継手(チーズ)を用いて接続しているのを時々見かけますがこれもNGです。

ところがリフォーム業者は水道業者に任せっきりの事が多く、水平器などを使用して正しい勾配で施工されているかどうかなどの検査をしているケースは少ないので、あまり信用できません。
水道業者は図面で指示されれば、たとえ勾配が不足しているのがわかっていても、すぐに支障が出るわけでなければそのまま施工してしまうケースがほとんどです。
こうなると結局職人任せの施工になります。

排水管の勾配は、専用の水平器を使用すれば簡単に誰でもチェックする事が可能です。(普通の水平器でも計測可能です)
ホームセンターなどでも安く販売されているので、これからリフォームされる方は自分で確認しておく事をお奨めします。

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水勾配が一目でわかる水平器。小さいので狭い場所でも計測可能です。
写真では左側が高く、左側にある4本の線のうち一番左側の線が1/50、一番右側の線が1/200になります。

排水管接続部
2本の排水管がT字型に合流する部分ではT字型ではなく、写真の様にY字型の継手を使用するのが正しい施工方法です。

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