中古住宅流通活性化のために必要な事

ホームインスペクションのお客様から、中古住宅の売買仲介時における、不動産業者の物件情報の「囲い込み」について聞かれる事があります。
私は不動産取引の実務経験はないので、詳しい事はわかりませんが、不動産業界にはこの様な長年続いてきた商習慣があるのは事実でしょう。

「囲い込み」は、売主から物件を預かった不動産会社がその情報を囲い込んで、同業他社の客付けを妨害する宅建業法違反の不法行為で、テレビの特集番組などでも時々取り上げられています。そして囲い込みを行っているのは、主に大手不動産会社だといいます。
「囲い込み」の目的は、自社で売主と買主の双方から仲介手数料を得る「両手取引」です。不利益を被るのは主に売主ですが、買主にとっても最も要望にあった物件を紹介してもらえない可能性があります。
また、悪質なものになると、売り出し価格を市場価格より故意に高めに設定し、さらに物件を囲い込んで売れ残り状態にして、売却を焦った売主から物件を安値で買い叩くという方法もある様です。その物件を高値で転売すれば、大きな利益になります。

中古住宅市場の問題点と今後

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国土交通省によると、我が国の中古住宅の流通シェアは全住宅流通の15%弱といわれ、世界的にも非常に低い水準です。
一方、空き家は増加し続けているにもかかわらず、中古住宅市場の活性化が一向に進んでいかないのは、この様な中古住宅取引の不透明さも一因となっているのではないでしょうか。
こうなると不動産業界では、自分で自分の首を絞めている事にもなりかねません。

こうした中で、賃貸や売買の仲介手数料を無料とする不動産のウェブサイトなども登場しています。
業界の長年に渡る悪しき慣習を壊すのは、こうしたベンチャー企業である事は決して少なくありません。
中古住宅市場の活性化や、空き家問題の解消を本気で考えるのならば、不動産仲介手数料の見直しや両手仲介の禁止など、中古住宅取引の不透明さ解消に向けて、不動産業界全体で取り組む必要があるのではないでしょうか。
住宅リフォーム業界にも改革が必要です。いつまでも自社の目先の利益ばかり追求している会社は、いずれ淘汰されてしまうと思います。

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