現場監督の心理

住宅、リフォーム市場(特にリフォーム市場)はここ何年もの間拡大市場と言われていましたが、やがて供給力が需要を上回り、今後競争が一層過激になることは避けられません。住宅会社が生き残るためには、顧客満足度を高める事と併せて、効率を高めて収益力を上げる事が必須となりますが、この二つはともすれば相反する事にもなりかねません。特に生産部門に大きな負担がかかる事になりがちです。

私がいままで住宅業界やリフォーム業界に関わってきて、住宅などの工事現場で施工ミスや不具合、欠陥などが発生するのは、工事現場の管理(監理)を一人の担当者だけに任せてしまう事に原因があると思っています。

設計・施工一括請負が一般的な住宅の現場では、現場の管理も監理も一人で行う事が多く、不測の事態や予想外のトラブル・クレーム等が発生した場合でも、すべて一人で対応しなければなりません。また現場監督は、担当している現場も他にもたくさんあって、とても品質管理だけに集中できる訳ではありません。

現場のチェックが甘くなる理由

現場で不具合を見つけても、ついやり直しを手配する事の面倒くささや、他の仕事の忙しさにかまけて、「この程度なら仕方がないか・・」と仕事のチェックが甘くなりがちなのです。
私も現場監督経験があるのですが、自戒を込めて言えば、特に繁忙期などは早く完成させたいあまり、現場を進行させる事がどうしても優先になります。
やり直しを指示すればその分仕事が増え、工事の完成が遅れる可能性も生じるので、自分の首を絞める事にもなりかねません。
完成が遅れれば当然ぺナルティ-があるからです。
よって心理的にも厳しくチェックする状況にならないのです。
もっと酷いケースになると、全て職人に任せっきりという事も皆無とはいえません。

また、厳しくチェックしようとしても、人間のやる事なので、見落とす可能性もあります。
一日のスケジュールに追われて余裕がなければ尚更です。
できるだけ複数の目でチェックする事が重要です。
会社によっては、現場監督の先輩や上司が検査を行う事もありますが、心理的な面での障害は、現場監督自らが検査する場合と大きく変わりません。

建築基準法で定められた確認審査機関の完了検査や、住宅瑕疵担保責任保険、住宅性能表示制度による検査などを受けていても、欠陥住宅と呼ばれるものは数多く発生しているので、決して安心できるとはいえません。

現場を管理する立場、設計者としての立場、施主の立場、第三者の専門家の立場等、異なる立場からチェックを行い、より安全でより仕上がりの良いものを目指す事が、一番の対策になると思います。

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