リフォーム工事の罰則規定

前回、リフォーム工事にも法的なチェックが必要という話をしましたが、建築基準法その他の関連法令では違反者に対する罰則規定を設けています。

平成18年の改正で罰則の上限が厳格化し、建築基準法の耐震基準などに関わる重大な違反があった場合の罰則の上限は「懲役3年または罰金300万円」です。

建築基準法以外でも法令違反者に対する処罰を厳しくする傾向があり、建設業法では建設業許可を受けていないリフォーム業者が税込500万円以上のリフォーム工事を請け負った場合には処分の対象となり、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(従業員が違反行為をした場合、個人が罰則対象となり、個人が属する法人は1億円以下の罰金刑に処されます)」となっています。

リフォーム業者にもともと500万円以上の工事を請け負うつもりがなかったとしても、打ち合わせの過程でどんどん工事金額が膨らんでしまい、最終的な見積もり金額が500万円以上になってしまうことはよくあることです。
そんな場合に、守るべき法令を遵守しているリフォーム会社はそう多くはないでしょう。

500万円以上のリフォーム工事を契約する際には、工事を発注するリフォーム会社が建設業の許可を受けているかどうかを必ず確認する必要があります。

尚、悪質なリフォーム業者が良く行う手口として、一つの工事を二つ以上の契約に分割して請け負う方法がありますが、この様な契約は当然認められません。
リフォーム業者からもしこの様な契約を勧められたら、法令違反の可能性が高いので注意が必要です。

無資格のリフォーム業者には法令違反の罰則規定がない?!

しかし罰則は主に有資格者を対象としたものなので、特に資格を持たないリフォーム業者が法令違反をおこなったときの罰則規定を定める直接的な法令がないのが問題になります。
またこれらの業者は、建設業法や建築基準法などを遵守する意識が低い傾向にあります。
何が違反になるのかを知らずに工事を行っているケースもあるでしょう。
したがって資格を有さない業者ほど違法工事を行う可能性が高くなるといえます。

もちろん資格を有さないからといって、違法工事ができるということはありません。
法令は資格の有無に関わらず遵守する義務があり、違反すればたとえ罰則規定はなくても損害賠償の請求対象になります。

近年では、さすがに違法な増改築工事の事例は少なくなりましたが、無許可工事と思われるリフォーム工事は時々見かけることがあります。

一方、違反建築物や建設業法違反などの対策について積極的に取り組んでいる自治体もありますが、法令違反を行うリフォーム業者は後を絶ちません。
建築基準法や建設業法に規定する罰則の適用対象となる不正行為等については、今後資格の有無に関わらず営業停止処分や行政代執行、刑事告発、是正命令等の監督処分などの厳格化が必要になるでしょう。

発注者に対してこれらの罰則が適用されることはないとしても、発注した業者が法令違反を行った場合には、トラブルになるのは避けられません。
リフォーム工事を行う際には、発注者も最低限の建築関連の法律知識を身に付けておく必要があります。

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