新築のテナントビルに店舗やオフィスの出店をした事のない方にとって、「A工事、B工事、C工事」の様な工事区分を聞いても何のことかわからないと思います。
しかしこれから新たにオフィスビルや商業施設に事務所や店を構えようとする方にとっては非常に重要な事で、これをよく理解しておけば工事費を大幅に削減する事が可能になるかもしれません。
A工事とはビル本体の工事で、躯体工事や共用の施設などビルの構造に関わる様な重要な箇所の工事をいいます。
費用負担はビルオーナーで、工事はオーナーが指定した業者(ゼネコン)が行います。
テナントの入居者が直接関わる事はありません。
B工事は入居者(借主)が費用を負担しますが、ビル全体の安全性や工程に大きな影響を与える可能性が高いとして、オーナーが指定した業者(多くはA工事を行う業者)が工事を行います。
主に入居者の区画内の設備工事などですが、入居者が業者を自由に選んで工事する事はできません。
しかしここで問題が生じる事も少なくありません。
業者があらかじめ決まっているので、工事を発注する施主(入居者)が相見積をとったり、工事費の交渉をするのが困難になります。
この場合、工事価格は業者の「言い値」になってしまう事が多く、工事費が割高になってしまう傾向があるので要注意です。
また、所有権も建物のオーナーになってしまうのが一般的です。
C工事は建物全体の安全性や工程等に比較的影響の少ない内装工事や什器備品、照明設備などの工事の事で、入居者が業者を決定して工事費を負担します。
所有権は入居者になります。
入居者が自由に業者を選べるので、相見積の取得や価格交渉も可能です。
ただし業者を決める際には、オーナーの承認を得る必要がある事が多い様です。
C工事の区分割合を増やす事がコストダウンには有効!
テナント工事をできるだけコストダウンするためには、交渉によりB工事を減らしてC工事の区分割合を増やす事がとても有効な手段になります。
入居者が相見積をとって価格交渉を行い、自由に業者を選ぶ事ができるので、工事費を自分でコントロールする事が可能になるからです。
しかし交渉を上手く成立させるためには、C工事を依頼する業者の信頼度の高さが不可欠です。
C工事業者の信頼度が低いと、オーナーや設計者、ゼネコンから拒否されてしまうでしょう。
C工事業者を決める際には単に価格の安さだけでなく、施工実績や技術レベル、建設業の許可など信頼度の高い業者を選んで発注する事が重要で、こうする事によって最終的にはトータルコストを抑える事が可能になります。