今月からインターネットで、顧客満足のために役立つリフォーム会社様向けの情報を発信する仕事を始めました。
新規参入が相次ぎ玉石混交のリフォーム業界で、少しでも業界のイメージアップや品質向上につながれば良いと思います。
さて、中古住宅のホームインスペクションを行っていると、ごく稀に無筋コンクリートと思われる基礎を目にすることがあります。
現在は建築基準法で定められているので、無筋コンクリート基礎で建てられる住宅はほとんどありませんが、鉄筋コンクリート基礎が建築基準法に明示されたのは平成12年(2,000年)のことで、まだ20年ほどしかたっていません。
しかしそれよりも前に建てられた住宅でも、基礎には鉄筋が入っているのが一般的です。
では木造住宅の基礎に鉄筋が入れられる様になったのはいつ頃からなのでしょうか。
いろいろな説がありますが、昭和55年(1980年)ごろから住宅金融公庫の仕様に鉄筋コンクリート基礎が追加され、それ以降一般化されたとする説が広く知られています。(ただし当時はまだ法制化されていませんでした)
私がこの業界で現場監督をするようになった昭和57年(1982年)には木造住宅でも鉄筋コンクリート基礎がすでにあたり前になっていたので、新耐震基準(1981年)で建てられた住宅は鉄筋コンクリート基礎で建てられているといってほぼ間違いないでしょう。
無筋コンクリート基礎には大きなひび割れや欠けが生じていることが多く、耐震性にも不安があるので、築年数が40年近くになる建物をスケルトンリフォームする際などでは、基礎の補強が欠かせません。
補強方法としては既存の基礎コンクリートに目荒らしを行い、新たに配筋した基礎を抱かせるようにして既存基礎との一体化を図る方法が一般的です。(下写真)
鉄筋コンクリート基礎を新設して既存の基礎と一体化させる補強方法
古くから行われている補強方法ですが、既存の基礎の劣化が著しい場合には、あまり有効とはいえません
無筋の基礎を簡単に補強する方法!
しかし建物の周囲に作業スペースがなかったり、見栄えが悪くなったりしてしまう場合には、炭素繊維シートやアラミド繊維による補強方法が効果的で、私が住宅会社でリフォームを行っていた際には度々この方法で基礎の補強を行いました。
この工法は元々橋脚やビル建築の耐震補強等で採用されていたもので、信頼性の高い工法です。
施工用エポキシ樹脂を用いて、炭素繊維シートやアラミド繊維シートに樹脂を含浸させながら基礎に接着していくことで、不足する鉄筋量を補い、強度向上、ひび割れ抑制に効果を発揮します。
軽量で補強厚さが薄いため建物の美観を損なわず、狭い空間でも施工可能で工期も短い(3~5日)ため、とても重宝していました。
費用は30坪程度(1階床面積20坪程度)の住宅で60万円程度でした。
炭素繊維シートによる基礎補強
築年数が古くても、現在では入手が困難な木材や銘木をふんだんに使って丁寧に建てられた家には、近年の住宅にはない味わいなどたくさんの魅力があります。
ホームインスペクションを行っていると、そんな家に度々出会います。
基礎に鉄筋が入っていないので大きな地震がきたら不安、基礎がひびだらけなので購入は控えた方が良さそう・・・・などという理由で、購入するのをあきらめてしまう方も多いのではないでしょうか。
でもあきらめるのはまだ早い! きちんと補強すれば安全に住めるケースは決して少なくありません。
弊社は単に住宅診断を行うだけでなく、ご要望により適切な補強方法のアドバイスや補強工事実施のお手伝いなども行っています。
古い中古住宅を自由にリフォーム・リノベーションして住みたいとお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
住宅会社やリフォーム会社とは異なる視点からアドバイスをさせていただきます。