マンションをリフォームする際にも建築基準法を守る事が必要ですが、マンションには他にも守らなければならない大切なルールがあります。
中古マンションの区分所有者は「管理組合」の組合員です。新たに中古マンションを購入した人も所有者で構成する「管理組合」の組合員となります。そして、組合員(入居者)が守らなければならないルールが「管理規約」です。
管理規約はマンションごとに定められるものなので、マンションによって異なる部分があるのですが、リフォームについても規約による規制があります。
良くあるマンションリフォームをする上での規制
よくある規制とは次のようなものです。
1、リフォーム工事の事前届け出
リフォーム計画を事前に管理組合の理事長あてに届け出て、管理組合の理事会の承認を得る事が必要です。
その際、図面や仕上表、工程表等の添付が必要な場合や、事前に上下左右の近隣住民の承諾書が必要となる事も
あります。
また、工事着工の1か月前までに届け出を行う事が必要なマンションもあるので、注意が必要です。
古いマンションや小規模なマンションでは届け出が不要な場合もあり、様々です。
2、床仕上げ材の制約(音の問題)
マンションで最も多いトラブルは上下階での音の問題なので、マンションによっては使用できる床材に制限があります。
カーペットや畳からフローリングに変更する工事を行うと、下階からクレームを受ける事があります。
特に小さな子供がいる場合や、夜遅くまで起きている生活スタイルの場合は要注意です。
フローリングにする場合は、フローリングの遮音性能が規約で指定されている事が多いので、事前に確認が必要です。
尚、コンクリート直貼用の遮音フローリングは、二重床の上に施工しても意味がないので注意してください。
また、フローリング禁止のマンションもあるので事前に確認しておく必要があります。
音の問題ではこの他に、水廻り設備の位置を移動したために、下階の住民から排水時の水の音がうるさいとのクレームに
なる事もあるので、要注意です。
3、電気・ガスの容量の制限
マンションでは建物全体の電気やガスの供給量が決まっているため、各戸の電気・ガスの容量にも制限があります。
一戸建て住宅の様に、自由に容量を増やす事はできません。
エアコンやIHコンロ、床暖房、浴室換気乾燥機等を設置すると、電気やガスの容量不足になる可能性があります。
また、給湯器などの容量アップや追い炊き配管などができない場合や、水圧不足で今人気のタンクレストイレが使用
できない場合もあるので要注意です。
4、共用部分の工事の制限
マンションでは、玄関ドアやサッシは共用部分になるので、自由に交換する事はできません。
また、共用部分の配管に手を加えたり、コンクリート躯体に穴あけする事もできないので、注意が必要です。
部屋の中や収納の内部に共用のたて管などが通っている場合もあり、この場合は配管の撤去や移動はできないので、
間取り変更などのリフォームを計画している場合には、事前に竣工図などによる確認が必要です。
マンションの竣工図面は、管理組合やマンションの管理会社などで閲覧する事ができます。
共用部分ではありませんが、室内のコンクリートブロック壁の解体なども禁止しているマンションもあります。
5、作業時間の制限など
管理規約で作業可能な時間帯や、作業禁止の曜日などが定められている事も多いので注意が必要です。
また「工事のお知らせ」の掲示や、エレベーターの使用上の注意、工事車両の駐車方法などが決まっている場合は、
それに従いましょう。
以上は代表的なケースですが、他にもマンションごとに独自のルールがある場合には厳守する必要があります。
特にリフォームする事を前提に中古マンションを購入する場合には、購入後に希望通りのリフォームが可能かどうか、管理規約をあらかじめ確認しておく事が重要です。
中古マンション購入前に確認しておきたい事・・・。
私は以前の勤務先で、中古マンションを購入したお客様がリフォームの相談に来られ、調査をすると管理規約によって思い通りのリフォームができない事がわかった例をたびたび目にしました。
不動産会社の仲介担当者はこのような事は教えてくれません。中古マンション購入後にリフォームの計画がある場合には、事前に管理規約を確認してください。
ただし、管理規約や竣工図書等の書類は、直接の利害関係者ではない第三者は閲覧させてもらえない事もあるので、不動産仲介会社を通して売主様に頼む必要がある場合がありますが、購入を検討しているのであれば売主様の協力は得られるはずです。