中古物件売買時の不動産仲介業者の責任

宅建業者が仲介した中古住宅に、万一瑕疵があっても、瑕疵を担保するのはあくまでも売主であって、仲介業者が瑕疵責任を負うわけではありません。
しかし、買主から「雨漏りがないか」と聞かれた仲介業者が売主に確認したところ、「雨漏りはない」との事だったので、買主に伝えたが、実際には雨漏りがあった場合の不動産仲介会社の責任はどうなるのでしょうか。
このような裁判では、売主には瑕疵担保責任を認めたものの、仲介業者の責任は否定した判例がある様です。(不動産取引の紛争と裁判例より)

不動産仲介業者の調査義務違反が問われた事例もある!

しかし、最近の事例として、土地建物を購入した買主が、当該土地建物で火災等が発生したことがある旨の説明がなかったとして、不動産仲介業者に損害賠償責任を求めた裁判では、買主の主張が認められています。
この判決では「売主と買主の双方から仲介を依頼された仲介業者は、売主の提供する情報のみに頼ることなく、自ら通常の注意を尽くせば仲介物件の外観から認識することができる範囲で、物件の瑕疵の有無を調査して、その情報を買主に提供すべき契約上の義務がある」としたそうです。(東京地裁・平成16年4月23日判決)

要は、建物の外観や室内の様子から、雨漏れ跡や水漏れ跡等を見つけたら、売主の話だけを鵜呑みにしないで、自らも確認する事が不動産仲介業者にも求められるという事です。

不動産仲介業者には厳し目の内容だと思いますが、不動産仲介では高額な手数料を得ているので、仕方ありません。過去には売買を成立させるために「仲介業務に不利になる事は知っていても話さない」などという事も行われてきたと思いますが、これからは無責任な対応はできなくなるでしょう。業界の体質を改善する上では良い機会です。

近年では、不動産仲介業者の中にも、自らホームインスペクターを抱え、建物診断・調査を無償で行ったり、関連の建物調査会社に調査を依頼して、調査費用を仲介手数料から差し引くサービスを行う会社もある様ですが、調査がお手盛りにならない様にして欲しいと思います。

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