建物の欠陥以外の中古住宅購入のリスク

熊本地震での建物被害の画像が各方面から届いています。
Gооgleストリートビューによる震災前の様子と比較できるものも多いので、外観から倒壊の原因を推測する事ができます。
木造アパートの倒壊の様子を見ると、各住戸の廊下側壁面に入り口や窓が連続していて、明らかに耐力壁が不足していたと思われるものもあります。
木造アパートも耐震診断を行う必要性を感じます。

さて、中古住宅購入で失敗しないためには、施工不良やメンテナンス不良による建物の欠陥や、現行法規にそぐわない既存不適格物件のリスク、騒音や災害等の立地条件のリスク、事故物件などの他にも、売主様も知らないリスクもあるので注意が必要です。

その中の一つは、建物による健康被害のリスクです。一時期大きな問題となったホルムアルデヒドによるシックハウス症候群の健康被害は、築年数が経過した中古住宅では、新築住宅ほど心配はありませんが、アスベスト(石綿)による健康被害には、中古住宅では注意が必要です。これまで、住宅には外壁スレート材や屋根材、天井や壁のボード、耐火被覆材など様々な「石綿入り建材」が使われていました。一般の住宅で使用されるアスベストは、ボード状に固められているものが多いため、普通に生活する上では飛散する恐れはほとんどないのでさほど心配する必要がないのですが、リフォームで壁に穴をあけたり、解体して撤去する際に、石綿を飛散させて吸い込んでしまう可能性があります。また、アスベスト建材の解体は、法律で規制されているため、撤去に予想外の費用がかかってしまう事もあります。
建材にアスベストを含んでいるかどうかは見た目だけではわからないので、設計図書等で確認する必要があります。
また、設計図書等がない場合には、専門の会社に依頼して成分分析をしてもらう事も可能ですが、数万円の費用がかかります。
リフォーム工事を行う際には、アスベスト調査を怠って、飛散したアスベストを吸い込んで健康被害にあわない様、注意が必要です。

また、電磁波が原因となって体調不良となるケースもあります。建物というよりも立地の問題ですが、高圧線がある鉄塔や送電線近くの中古住宅を購入する場合には、十分に注意する必要があります。日常的に強い電磁波を浴び続けると、小児の白血病や、脳腫瘍のリスクが大きくなるといわれています。
心配な場合は専門業者に電磁波測定を依頼する事も可能です。同じ家の中でも、部屋の配置や向きによって電磁波の強さが異なるので、長時間過ごす部屋をできるだけ電磁波の少ない部屋にする等の工夫も有効です。

防犯やプライバシーに関するリスクも軽視できない

二つめは、防犯やプライバシーに関するリスクです。中古住宅を購入した場合は、玄関や勝手口ドア等の鍵交換は必ず行っておきたいものです。
また、中古住宅のホームインスペクションを依頼するお客様の中には、ごく稀に盗聴器の設置を気にされている方もいます。
売主様の家族が、知らないうちに仕掛けられていたケースも考えられます。
統計によれば、盗聴器が仕掛けられる場所として最も報告例が多いのが一般家庭で、全体の3割程度を占めるといいます。
そして、市販されている盗聴器だけでも、年間35~40万個に達するそうなので、盗聴器の設置は決して映画やドラマの中だけでなく、思っているよりも身近なリスクと言えるかもしれません。
盗聴器発見調査の依頼先としては、探偵業者などが知られていますが、調査費用は、一般的な調査で2~6万円程度で、使用機材によっても異なる様です。
私も以前、ひとり暮らし予定の独身女性が、中古マンションを購入する際の盗聴器発見調査に立ち会った経験があるのですが、調査時間は概ね2時間程度だったと思います。

最後に、近隣にどの様な方が住んでいるのかも気になるところです。近隣とのトラブルで、せっかく手に入れたお気に入りの住まいを手放す事になった事例もあります。ご自身の目で確認しておいた方が良いでしょう。

この様に、住宅購入に際しては様々なリスクがあります。必要以上に神経質になる必要はないと思いますが、後々後悔する事がない様に慎重に行動して欲しいと思います。

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