地震の震度と加速度の関係

千葉県内の築20年の中古住宅の購入を検討しているAさんは、建物の耐震性能が気になっていました。
そこで不動産屋さんに質問します。
「この家は大地震が来ても大丈夫ですか?」

不動産屋さんは自信満々で答えました。
「新耐震設計基準で建てられているので、倒壊してしまう心配はないと思います。それに6年前の東日本大震災の時も、建物には全く被害がありませんでしたから!」

これは実際にあった話ですが、本当に大丈夫といえるのでしょうか?
まだ不安が残ったAさんは、弊社に電話で問い合わせしてきました。

東日本大震災の際の首都圏の震度は、震度5強~震度5弱といわれています。最も揺れが大きかったといわれる千葉県成田市、印西市でも震度6弱です。

震度が1違うと地震加速度(1秒間にどれだけ揺れの速度が上昇したかを示す値)は約3倍、震度が2違えば加速度は約10倍になるといいます。震度と加速度は比例関係ではないのです。

確かに東日本大震災では、過去に経験した事のない大きな揺れを体験しました。
しかし、たくさんの建物に被害があった熊本地震の最大震度は7ですから、その大きさは桁違いです。
東日本大震災で全くの無傷でも、震度7の地震で倒壊しないという根拠にはなりません。
実際に熊本地震では1981~2000年の新耐震基準の家でも、たくさんの家が倒壊しました。(最も被害が大きかった益城町では約2割近くが大破・倒壊・崩壊したといわれています)
1981年の新耐震基準では、継手・仕口の緊結や耐力壁配置のバランスなどが不十分だったのです。
また設計は新耐震基準でも、設計図通りにきちんと施工されているかどうかもわかりません。

今回問い合わせがあったAさんが購入を検討していた物件は、一度見合わせる事になりました。
不動産業者の営業マンが信用できなくなった様です。

不動産業者の無責任な説明に注意!

この様な無責任な発言をする不動産業者は意外と多いものです。
他にも、「建築確認申請を受けているので大丈夫です」、「大手ハウスメーカーの施工なので心配ありません」、「役所の検査を受けているので大丈夫です」、「この程度は許容範囲なので問題ありません」、「(売主から)腕の良い大工が建てたと聞いているので大丈夫です」、「構造的には何の問題もありません(根拠不明)」などというのも要注意です。

物件を見て不安な点があれば、不動産業者の説明を鵜呑みにせず、まずは建築関係の知人や建築の専門家に問い合わせてみる事が大切だと思います。

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