在来軸組工法の耐震補強に注意!

先日夜NHKで、12年前に世間を大きく騒がせたマンション耐震強度偽装事件を振り返る内容の番組が放映されていました。
連日ニュースや国会でも取り上げられ、建築基準法の改正や建築士試験の見直しにも繋がった大事件のその後、「欠陥マンションはなくなったのか?」という様なテーマでした。
建設業界のモラルは少しづつ向上していると思いますが、それだけで欠陥住宅を無くせるものではありません。
設計図書のチェックや現場での検査制度の充実が不可欠ですが、検査を行う側の人材不足が懸念材料になっています。
資格があればきちんとした検査ができるわけではありません。

さて、木造在来軸組工法の建物では、筋違いを増設する事による耐震補強が一般的に行われていました。
しかし近年では2×4工法と同じ様に、構造用合板等による耐震補強も多く行われています。

構造用合板を使った耐震補強は、比較的誰でも簡単に行う事ができるため、今後益々増えていく事が予想されます。
しかし正しい施工方法で施工されないと、所定の耐力にならないため注意が必要です。

正しい施工方法とは、N50の釘(鉄丸釘)を150mm間隔以下で合板の4周全て及び中央に打つ、合板は土台や梁に固定する(床上や天井の下から貼っても効果はない。)等です。
また合板に釘の頭がめり込んでいたりするのもだめです。

現在では少なくなりましたが、以前は釘の種類を間違えていたり(細い釘が使用される)、合板が土台や梁に届いていないケースがよくありました。

在来軸組工法の面材耐力壁の欠点

また、在来軸組工法に2×4工法と同じ様に構造用合板と石膏ボードを貼っても、2×4工法と同等の耐震性(壁倍率)は得られないので注意が必要です。
2×4工法では構造用合板と室内側の石膏ボードの両方が耐力壁になりますが、在来軸組工法では室内側の石膏ボードは耐力壁にはなりません。(工法の施工上の問題があります)

よって、在来軸組工法で構造用合板のみで耐震補強を行った場合には、耐力壁が外壁面に偏ってしまう傾向があるので注意しなければいけません。
在来軸組工法では、筋違いと構造用合板を上手に使い分けた耐震補強計画を立てる事が重要になります。

近年では構造用合板の他に、構造用パネル(OSB,MDFなど)、ダイライト、ノボパンなどの構造用面材がありますが、どれも万能ではありません。
「構造用合板によるモノコック構造の耐震補強」などのセールストークに惑わされない様にしてください。

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2×4住宅の耐力壁

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