全面リフォーム・耐震補強済の物件の問題点

以前全面リフォーム・耐震補強済をセールスポイントにした中古住宅のインスペクションを行いました。外装、内装、住宅設備機器の交換等のリフォームに併せて耐震補強も行い、350 万円の費用をかけたとの事でした。

外装も内装も綺麗で、キッチンやユニットバスも新品。見た目は築30 年以上経過したとは思えない住宅でした。
ただ、耐震補強工事の内容には疑問が多く残りました。

耐震補強済の物件の問題点

taishin
写真はイメージです。

一般的に木造住宅の耐震補強においては現況の耐震診断をもとに、屋根を軽くしたり、筋交いや構造用合板を貼った耐力壁をバランス良く配置して地震の揺れに対抗できる様にするのですが、耐力壁に使用する合板の種類、釘の長さや間隔、筋交い金物等には規準があります。

また耐力壁もただ増やせば良いというものではなく、必要な量をバランス良く配置しないと意味がありません。これらの部分は、リフォーム工事が完成してしまうと見えなくなってしまうので全てを確認する事は不可能なのですが、この物件の場合は床や天井の点検口から確認できる範囲では正しい接合金物が使われていない様でした。

また、天井や床の断熱材もありませんでした。リフォームで、壁や天井を一部解体するついでに壁に筋交いを入れて
耐震補強も同時に行うという事はリフォーム現場ではよくある事です。
しかしこれはあくまで他の工事のついでに行う工事で、耐震補強を目的とした工事ではありません。壁の一部を補強した事で耐震性に問題がないかの様な表現には問題があります。

住宅のリフォームのついでに耐震補強を行う事は望ましい事ではあるのですが、旧耐震基準の建物(建築年月日が昭和56 年6 月以前の物件)では、耐震診断を元にしっかりとした耐震補強工事を行うと500 万円以上かかる事もあります。
どこをどの様に補強するかによって耐震性能に大きな差が出てしまうのです。耐震補強が行われているからといっても部分的な補強工事では、決して地震に対して安全とはいえません。

全面リフォーム済の物件は見た目は綺麗でつい心を奪われがちなのですが、建物の安全性や断熱性等の基本性能も気になる場合は是非インスペクションをお奨めします。

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