自分でできるリフォーム工事の見積もりチェック

リフォームの工事を契約してからや、工事が完成してから工事内容や工事金額が適正かどうかの相談を受ける事があります。
契約は工事内容や工事金額に関してお互いに合意している事になるので後で高いと指摘しても、工事金額の減額に応じてもらえる事はほとんどありません。また期間を過ぎていればクーリングオフする事もできません。
見積書のチェックは契約前に行う必要があります。

さてリフォームの見積もりをチェックするためには、専門的な知識と豊富な経験がないと難しいという事を何度もお伝えしました。
しかし部屋の壁紙の貼り換え工事程度であれば、リフォーム会社の見積書を自分でチェックする事も可能です。

見積書をチェックするためには、まず天井や壁の面積を計算しなければいけません。
天井の面積はすぐに計算できると思います。1帖あたり約1.65㎡なので6帖の部屋で約10㎡、8帖の部屋で約13㎡です。
そして壁の面積を計算するには、まず部屋ごとに壁の長さの合計を計り、天井高を掛けます。そこから窓やドアなどの開口部の面積を引けば誰でも簡単に計算する事ができるでしょう。

しかし家全体の壁の面積を計算するとなると、けっこう面倒で時間もかかります。そんな時、もっと簡単に壁の面積を計算する方法があります。

簡単に室内の壁の面積を計算する方法

室内の壁の面積は窓やドアの大きさや数によって異なるものですが、一般的な住宅では特殊なケースを除けば、おおよそ床面積の2倍~2.5倍の範囲に収まります。もちろん正確な数量ではありませんが、リフォーム会社の見積書の数量の妥当性を判断する目安としてはこれで十分です。
床面積80㎡の家であれば、室内の壁の面積は160㎡~200㎡の間です。

特殊なケースとして一戸建住宅で天井高の高い部屋があったり、勾配天井の部屋などがある場合はこれより数量が多くなる事がありますが、マンションではほとんどの場合がこの数量の範囲になる事を覚えておくと良いと思います。

またマンションの場合は、室内の梁を天井として計算するか、壁として計算するかで多少異なりますが、天井と壁の壁紙全体を貼り換える場合の数量は床面積の3倍程度です。(専有面積70㎡のマンションで210㎡前後)
私がリフォーム会社に勤務していた時にお客様に概算金額を伝える際には、この数量に単価を掛けた金額をお伝えしていました。

リフォーム会社の見積書の数量がこの数量よりも極端に多い場合は、要注意です。他の工事項目でも数量が水増しされている可能性があります。

そして見積書をチェックする際には、数量チェックに併せて単価が適正かどうかを見なければいけません。
その際に参考となるのが、一般財団法人経済調査会発行の「積算資料ポケット版 リフォーム編」や各種メーカーから公表されている設計価格(材料代に工賃を含めた定価の様なもの)です。
「積算資料ポケット版」は書店やアマゾンで購入する事ができ、設計価格(メーカー公表価格)は各メーカーのホームページなどで確認する事ができます。

一般的にリフォーム会社の見積単価はメーカー公表価格よりも安いのが普通ですが、以前私が依頼を受けて見積チェックを行った事例には、外壁塗装の単価が設計価格の2倍以上の金額になっていたケースもあるので注意が必要です。
(この業者は、他の多くの項目で単価を水増しした価格を提示し、何枚にも分けて見積書を提出した上で、最後に大幅な値引きを行っていました。)

見積チェックは、努力すればある程度までは自分で行う事ができます。しかし不審な点が多い様であれば、一度専門家に相談した方が良いと思います。わずかな費用でその何十倍もの無駄な出費を抑える事ができるかもしれません。

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メーカーの設計価格の2倍以上の金額で見積もりされた例(相場よりも40万円以上高い)

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