旧瑕疵事故保証物件における瑕疵事故の約9割が雨漏りだそうです。(日本住宅保証検査機構資料より)
雨漏りの原因というと屋根や外壁の不具合が多いと思われがちですが、私自身の経験では決してそうとは
限りません。
屋根葺き材の割れや欠落、棟包板金の浮き、屋根漆喰の剥がれ、屋根防水層の劣化、外壁のクラック、シーリング材の劣化、外壁貫通部分の隙間などが原因の雨漏りも確かにあるのですが、これらの部分が
原因の場合は比較的原因の特定がしやすく、修繕にもさほど手間がかかりません。
またこの様な雨漏りは築年数の経過した住宅で発生するものです。
しかし新築やリフォームして間もない時期に雨漏りが発生する場合は少し厄介です。
この場合の不具合箇所は、サッシ・トップライト等の開口部廻りやバルコニー笠木の取り合い部、
屋根と軒天井との取り合い部、防水層の立ち上がり、屋根と屋根との取り合い部(屋根形状が複雑
な場合に多い)等ふたつ以上の部位が接合する部分で多く見られます。
単純に屋根・外壁だけではないので、目視するだけではわからない事もあります。
近年の住宅では、開口部周辺や各取り合い部分に防水テープが用いられ、外壁には通気層が設けられる
様になったので、正しく施工すれば二重の防水対策となって雨漏り対策として有効に機能するはずです。
(以前の住宅は開口部周辺はシーリングのみ、外壁は通気層をとらずに直貼りで施工するのが一般的
でした)
実際、以前と比較すると住宅の雨漏りは少なくなったと思うのですが、それでもなお雨漏りが発生して
しまうのは施工不良や設計上の納まり不良に起因する事が多く、この場合の原因特定には部分的に解体
が必要になるなど手間と時間を要する事が多くなります。
雨漏れの原因は大きく二つに分けられる
この様に雨漏りの原因を特定するにあたっては、経年劣化が原因と思われるものと、築年数の浅い施工不良が疑われるものとで分けて考える必要があると思います。
また経年劣化が原因と思われるものの中にも、原因特定が難しいものもあります。
ひとつはアルミサッシの老朽化で、以前サッシ枠のコーナー部分のたて枠とよこ枠に挟み込まれている
防水パッキンが劣化して雨漏りしている事がありました。
どんなに優れた材料でも必ず劣化します。また手抜きするつもりはなくても、施工にうっかりミスはつき
ものです。
雨漏り対策で大切な事は、たとえ一次防水に劣化や施工不良があったとしても、二次防水で防ぐ事ができる様二重の対策を怠らない事です。
よくシーリングのみで防水処理をしているケースを見かけますが、シーリングの寿命はさほど長くはあり
ません。(種類や環境によっては5年程度で劣化してしまう事もあります)
また、地震等の揺れで破断してしまう事もあります。
二重の対策をとった上で、屋根材の下にはルーフィングがある、外壁材の下には透湿防水シートがある、
サッシ廻りや外壁貫通部のシーリングの下には防水テープがあるからといって、ひとつひとつの工程を
決して疎かにしない事が重要です。
また、定期的なメンテナンスや補修をしっかりと行う必要がある事はいうまでもありません。