不動産情報サービスのアットホーム株式会社が、首都圏の物件売却者と中古住宅購入者を対象に行った調査結果を2015年7月に公表しています。
その中で興味深いのが、住宅診断(ホームインスペクション)について知っていると回答した人は、僅か16.5%(対象521名中86名)で、購入者の中で住宅診断を実施した人は7.0%だったそうです。
住宅診断がもっと多くの方に認知されれば、実施率も確実に増えそうです。
また、瑕疵保険について知っている人は26.7%で、購入者の中で瑕疵保険に加入した人は8.3%だったとの事なので、いずれも住宅診断の結果を上回っていますが、これに関してもまだまだ認知度が低いといえます。
一方、売主に対する調査では、売りに出してから売れるまでの期間は平均8か月(マンション6か月、戸建11か月)かかっていて、約40%の人が買ってもらえるか心配だったと回答しています。ちなみに買主側の調査では、物件を探し始めてから実際に購入するまでの期間は平均9か月で、ネットで見た物件数は平均43.7件にもなったといいます。
リフォームに関する調査では、売却時にリフォームを実施した売主は13.9%(対象295名中41名)ですが、その平均費用は254万円にも上り、最も多いのが100万円以上150万円未満でした。
また、住宅購入後にリフォームを実施した買主は約半数の50.5%で(対象386名中195名)、約3割の買主が「購入前にもっとリフォームについての知識があれば良かった」と回答しています。
売主が実施するリフォームを含めると、住宅の売買を機に、過半数の物件でリフォームが行われているといえます。
売却前のホームインスペクションは、物件を差別化する上で非常に有効
これらの調査結果から、中古物件購入時には、買主はじっくりと時間をかけて多くの物件を比較検討しながら物件探しを行い、購入後には自らリフォームを実施する傾向が高い事がわかります。
一方、売主側にとっては、物件の差別化が大きな鍵になる様に思います。売却する前にリフォームを行って、見た目を綺麗にしておく事もひとつの方法ですが、それで買主の不安が全て解消できる訳ではありません。
表面は綺麗でも、隠れて見えなくなる部分がどの様な状態だったのかわからないためです。
不動産業者は、物件を売りやすくするために売主にリフォームを奨めます。しかし、その内容は見た目重視で、必ずしも買主にとってメリットになるとは限りません。
不動産仲介業者に奨められるままにリフォームするよりも、売却する前に住宅診断(ホームインスペクション)を行って、買主の不安を取り除く事は、差別化する上では非常に有効だと思います。