サブリース会社の実態

今年は、かぼちゃの馬車をはじめとしたシェアハウス運営会社の相次ぐ倒産や、レオパレス21のアパート建築手抜き工事問題など、サブリース会社の不祥事が次々と発生しました。
サブリースとは、不動産会社がビルや集合住宅をオーナーから一括で借り上げ、それを転貸することです。
オーナーから建築工事を請け負い、一定期間家賃保証を行って一括借り上げするのが代表的なビジネスモデルです。
オーナーは自ら管理業務を行うことなく、空室が出ても家賃滞納が発生しても毎月一定金額を受け取ることができ、相続税対策としても有利になるメリットがあります。

一方、一括借り上げでシェアハウスを経営するとの売り文句で、顧客に数千万円から億単位の銀行融資を受けさせて土地とアパートを販売するスマートデイズ社が経営破綻しました。
これにより多くの被害者を出しています。

欠陥住宅の問題は別として、かぼちゃの馬車のスマートデイズ事件の被害者に関しては「もう少しリスクを判断できる能力があれば、被害にあうことはなかったのに」という思いがあります。
今時利回り8%で、30年間の定額完全保証などという事があるはずがありません。
アパート経営はひとつの事業なので、投資を行うだけの最低限の見識や判断能力を身に付けておく必要があったのではないでしょうか。
世の中に「必ず儲かる不動産投資」などあるはずがありません。
頭金なしで億単位の融資を受けるなど論外でした。
高齢者や判断能力に欠ける方がだまされてしまったのはやむを得なかったとしても、一流企業の社員までが被害にあってしまったのは何とも腑に落ちません。

そんな中で、サブリース最大手である大東建託の実態を明かした本がベストセラー化し、不動産関係者の中で話題となっています。

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「大東建託の内幕」同時代社刊 著者:三宅勝久

常識外の営業ノルマと利益至上主義の企業体質の実態

その内容は、過酷なノルマやパワハラにより犯罪に手を染める社員の存在や、建築見込みのない架空の契約(契約金の30万円は社員の自腹)、GPSでの営業マンの行動の監視、書類の改ざん、挙句の果てには社員の相次ぐ自殺などです。
顧客の自己資金の不足分を社員に肩代わりさせたり、アパートを建設するために執拗なまでに借主に強引な立ち退きを要求することもあったと言います。
社内では、過酷なノルマやパワハラを原因とするこの様な会社ぐるみの不正行為や架空請求などが日常茶飯事だったという信じがたい話です。
もちろん営業マンへのノルマや、営業マンの行動管理、銀行融資承認前の契約などはどこの会社にも多かれ少なかれあるものですが、この本に書かれている内容は常軌を逸しています。

企業に関する悪い噂やインターネットへの書き込みなどはどんな企業にもあるものですが、具体的なトラブルの詳細にいたるまで明らかにされることは過去にはほとんどありませんでした。
元社員、現職社員、オーナーの証言を元にまとめたそうですが、よくぞここまで詳細に書けたものだと感心してしまいます。
企業から膨大な広告収入を得ている新聞やテレビなどのマスメディアでは、この手の批判的な報道はご法度だからです。
真偽のほどは分かりませんが、サブリースやアパート建築を検討している方は、ご決断する前に是非一度読んでおいて損はないと思います。

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