昨日東京都内で発生した大規模停電。原因は埼玉県新座市の東京電力施設内の火災だそうですが、ケーブルの経年劣化が火災につながった可能性が高いといいます。ケーブルは敷設してから約35年経過していますが、直近の点検では異常は確認できなかったと伝えられています。
今後、検査の方法や検査項目の見直しなども必要になるでしょう。
さて、国交省などが過去に発表してきたデーターによると、我が国の木造住宅の寿命は27年または30年、マンション(鉄筋コンクリート造)の寿命は37年とするケースが多い様です。
しかし、このデーターがどんな根拠によるものなのかはあまり知られていません。
木造住宅の寿命27年は、取り壊された住宅の平均築年数、30年は現存する住宅数を新築数で割ったものだそうで、いずれも木造住宅の寿命を正確に表しているとはいえません。
また、マンションの寿命37年も、建て替えを行ったマンションの平均築年数だそうで、一般的なマンションの寿命とはいえません。
木造住宅でもマンションでも、これらの寿命と言われる年数を経過しても、まだまだ十分に使用できる建物はたくさんあり、大規模なリノベーションを行ってほぼ新築同様になったものもあります。
いずれの寿命も、適切な点検やメンテナンスを行う習慣がなかったこれまでの状況から算出したものなので、所有者がこれらの事をしっかりと行っていけば、我が国の住宅の寿命は飛躍的に伸びるはずです。しかし、住宅をメンテナンスしながら長持ちさせるという発想が少なかったわが国では、程度の悪い住宅も多数存在しているというのも現実です。良いものと悪いものを見極める事が大切です。
そして、建物の点検やメンテナンスを適切に行っていく様にするためには、建物の評価を適切に行う事も、我が国では今後の大きな課題となります。
築年数の経過によって、どんな建物でも一律に価値が下がっていくこれまでの評価システムを排除し、建物の品質や劣化状況に応じて適正な評価をする事が必要です。
築30年以上経った建物でも、耐震補強を行い、良いコンディションを保っていれば、それなりの評価をするという事です。
重要な住宅ローン評価の見直し
しかし、ここで重要になるのは、「住宅ローンの評価の見直し」です。
建物にいくら適正な評価をしても、住宅ローンの対象にならなければ、その建物は中古住宅市場で流通しないからです。
品質が高く、メンテナンス状況も良くてコンディションが良好な中古住宅には、低金利や長期の住宅ローンが適用される様になれば、ますます中古住宅の評価制度が見直されて、市場から欠陥住宅が無くなっていくはずです。
誰もが安心して中古住宅を購入できる様になって、ますます中古住宅流通市場が活性化する好循環を生み出すでしょう。
空き家問題が深刻化し、資源の有効活用が叫ばれる中、中古住宅市場の活性化を住宅問題の最優先課題とする事が、人口が減少し、経済が停滞する我が国において必要な手段だと思います。