リフォームとリノベーションの違いとは?

建設産業の人手不足が深刻です。
特に作業員不足が落ち着いてきた昨今では、建設技術者不足が顕在化している様です。
私の元にも、毎日の様にたくさんの一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士の求人情報が届きます。
どれも驚くほどの好待遇で、年収1000万円に近い求人も少なくありません。
多くの建設会社が技術者確保に躍起になっている様子がうかがえます。
採用には様々な要素が考慮されますが、建築・土木の世界ではやはり資格の有無は外せない要素の様です。
一定規模以上の工事を行うには、施工管理技士などの有資格者による現場管理が必要なので、当然の事でしょう。
現在私が関わっているいくつかのリフォーム会社でも、社員には「資格を取って一人前」と話しています。

さて、近年「リノベーション」という言葉をよく耳にします。
「リノベーション」には現在の住まいを「劇的にリフォームする」、住宅の再販業者が中古住宅を改修して「リノベーション住宅」として販売するなどで代表される様に、従来の「リフォーム」よりも大がかりでデザイン性に優れたリフォームというイメージがあります。

英語で「renovation」とは刷新、改革、改造、修復などを意味し、一般的には既存建物を大規模に改装し、用途変更や機能の高度化を図り、建築物に新しい価値を加える事を指します。
しかし、リフォームとリノベーションの明確な違いはありません。
「リノベーション」は「リフォーム」よりも聞こえが良く、客受けが良いので、厳密に違いがない事を逆手にとって、多くのリフォーム会社や再販業者が好んで使う言葉になりました。
昨今では、全室の表層だけを綺麗にリフォームしてインテリアコーディネートを行い、対面式キッチンにした程度でもリノベーションと呼ばれています。
しかし、これでは単に施工範囲が広いだけで、従来のリフォームと本質的には何も変わっていません。

住宅の「リノベーション」は建築のプロだけが行えるもの!

リフォームが壊れていたり、老朽化していたりする部分を修理したり交換したりして機能を回復させる事なのに対して、
本来のリノベーションとは、性能を新築の状態よりも向上させたり、価値を高めたりするものでなければなりません。
具体的には耐震性能や省エネ性能を高めたり、たとえ機能はそのままでもよりデザイン性の高いものに改良したり、個々の生活スタイルに合った住まいづくりを目的にしたのがリノベーションです。
また、建築はテクノロジーでもあるので、リノベーションには少なくとも建築士や建築施工管理技士などの建築のプロフェッショナルに、設計や現場管理では関与して欲しいものです。

現在、「リノベーション」と「リフォーム」の使い分けは非常に曖昧になりつつありますが、「リノベーション」と呼ぶからには、間取り変更、給排水管更新、住宅性能の向上、現行の建築基準法に適合している事などが最低限の条件ではないでしょうか。
更に、個々の生活スタイルにマッチした新たな提案が加われば尚相応しいでしょう。

壁紙やフローリング等の内装を全面的に綺麗にして、住宅設備機器を交換し、キッチンの向きを少し変えた程度で「リノベーション」と言うのでは、消費者を混乱させるだけの様に思います。
単に言葉の問題として見過ごすのではなく、一般の消費者の方々に対して誤った認識を与える(意図的に?)事がない様に、住宅のリフォーム業に携わる人達には十分注意して欲しいと思います。

skelton02[1]
マンションのリノベーションでは、写真の様なスケルトンリフォームになる事が多い。
この状態から断熱工事や防音工事、給排水管・電気配線等の更新、間取り変更などを行います。

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