家を建てたい時やリフォームしたい時に、業者にプラン依頼や見積もり依頼をするとお金がかかると思う方はほとんどいません。
昨今では、住宅会社にプランの作成を依頼したり、リフォーム会社に見積依頼をしたりしても、無料なのがあたり前の様に思われています。
しかし住宅プランの作成やリフォームの見積作成は、一般の方が思っているほど簡単なわけではありません。
要望のヒアリングや現地調査などにかかる時間と手間を加味すると、1回の依頼で少なくとも数万円の費用が掛かります。
年間100件の依頼を受ければ数百万円の費用が発生します。
詳細な調査を行い、わかりやすいプレゼン資料を作れば作るほど経費が膨らんでいきます。
最終的に工事を受注することができれば、かかった費用を依頼者から回収することができますが、どんな会社でも依頼を受けたすべての工事が受注できることはほとんどありません。
成約になるのは6割程度あれば良い方で、中には2~3割にも満たないという会社もあるのではないでしょうか。
それでも会社は、設計担当者や営業マンに給料を支払わなければなりません。
「見積もり無料」は消費者にとって本当に良い事?
では住宅会社やリフォーム会社は、それらの経費をどこで賄っているのかご存知でしょうか?
それはその会社で家を建てる人やリフォームする人からです。
つまりプラン依頼や見積もり依頼を行って契約までに至らなかった人にかかった経費を、契約した他の人から取っていることになります。
これは契約した人にとって、とても不条理なことですよね?
一見良心的なプラン作成無料、見積もり無料のシステムですが、多くのクライアントにとって実はあまり良い事ではありません。
このサービスは、もともと大手ハウスメーカーから始まったといわれています。
ハウスメーカーの住宅は規格プランが多いため、プランニングにも見積もり作成にもそれほど手間や時間がかかりません。
敷地にプラン集から選んだプランをあてはめるだけでプランニングは完了し、本体工事費はすでに算出済みになっています。
ハウスメーカーが営業活動の一環としてプラン作成や見積もり作成を無料で行ったのが始まりで、次第に業界内では「見積もり無料」「プラン作成無料」があたり前の様になりました。
有料で行っていたら契約がとれないからです。
しかし現在でもアトリエ系の建築設計事務所などにプラン依頼をすると、有料になるケースもあります。
また相談には応じても、契約するまで見積もりやプランの提案はしないという会社や、注文住宅や大規模リフォームの場合はラフプラン作成や概算見積もりまでは無料で行っても、詳細見積もりは有料になるケースも増えています。
この手の会社は、どちらかというと営業力よりも技術力を重視している会社に多い様です。
営業のための無料見積もりと、詳細な有料見積のどちらが信頼性があるのかは明白です。
経費がかかるプラン作成や見積もり作成費用は、依頼者に負担してもらうのが本来の姿です。
かかった経費を他の人に負担してもらうのは、正しい姿とはいえません。
業界全体が本来の正しい姿に戻れば、建築費やリフォーム費用はもっと下がるはずなのです。