住宅の外観デザインの流行

今月23日、徳島市でポケモンGOをしながら走行していた車に、女性2人がはねられ、うち1人が死亡したそうです。
心配していた事がついに起きてしまいました。
この様な危険な運転手は、日本中には他にもたくさんいるはずです。
たかがゲームで、人生を台無しにされる犠牲者とその家族はたまりません。これ以上事故が起きない様、早急な対策が必要です。

さて、物事には流行がある様に、住宅の外観デザインにも流行があります。
過去には、アーリーアメリカン風とかプロバンス風などと呼ばれるものが流行った事もありました。

最近の住宅では、凹凸の多い外観よりも、凹凸の少ない四角い箱の様なものが増えています。
そして建物の基調となる色はほとんどが白かグレー。このシンプルで無駄のないデザインこそが、建築家の最新のトレンドらしいのです。
建築家が新しい発想でオリジナルデザインを追求した結果、昨今は普通の住宅会社でもそれを真似た住宅を建てているため、四角いシンプルな外観を持つ住宅がどこにでもある今時の住宅になりつつあります。

何を格好良いと思うかはもちろん人それぞれですが、少なくとも建築家を自称する人達の間では、建物に特有の庇や屋根、バルコニーなどの出っ張りがない、のっぺりとした無機質な外観デザインの方が高評価を得られる風潮があります。最新の住宅雑誌に掲載されている住宅は、ほとんどこの様な外観です。サッシの窓枠もなるべく細くて、目立たないものが好まれています。雨戸やシャッターなどは論外の様です。
家というよりも、工業製品であるアップル社の製品の様なイメージで、あまり人の温もりは感じられません。
また、一般的には凹凸のないシンプルな家の方が建築費も安いと思われがちですが、この様な家の方が建物に性能上のリスクを負わせる事になるため、その対策で施工費は意外と割高になります。

四角い家の問題点

元来、住宅にはある程度基本となるカタチがありました。これは長い年月をかけて生まれた先人からの知恵です。
かつて建物全体のかたちや意匠には、一定の決まり事があって、それにしたがって設計されてきました。
そのため、住宅はわざわざ建築家に依頼しなくても、大工が設計する事が可能でした。
しかし、一定の決まり事は決して一朝一夕で生まれたわけではありません。

気象条件や自然環境などの地域性で、屋根勾配や軒の出の寸法、窓の大きさなどが変わるとしても、建物の基本的な部分は長期に渡って継承されてきたのです。屋根の勾配は積雪や雨漏れを避けるため、窓の庇や深い軒の出は、雨の吹き込みを防ぐだけでなく、真夏の日差しを避ける役割もありました。
子供が描く日本の家の絵には、必ず三角形の屋根があって軒が出ていました。
建築家が建物のデザイン性にこだわって、軒の出や庇などの出っ張りをなくす事は構いませんが、建物の基本性能がおざなりになって、予期せぬ不具合が頻発する様になるのは避けなければなりません。

その代表的なものが雨漏りです。
雨漏りしやすい場所は、屋根の先端、外壁と屋根の取り合い部分、軒天井と外壁の取り合い部分、サッシ廻り、バルコニー廻りなどで、建築の専門家なら誰でも知っています。しかし、これらの部分は雨漏りしやすく設計した方が凹凸が少なく、すっきりとした納まりになるのです。
これらの施工や雨仕舞いについて、きちんと考慮した設計ができれば良いのですが、ただ見た目だけを良くした設計だと、雨漏りが絶えない住宅になってしまう可能性大です。
また、住宅の見た目の格好良さは時代とともに変化するものです。現在デザイン性が高いとされるものでも、次の時代には陳腐化してしまう可能性もあります。
最近流行りの四角いシンプルな家を購入する際には、流行に影響されるのではなく、この先何十年も自分が本当に良いと思えるかどうかが大切です。

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