施工ミスによる住宅トラブルが増加の傾向

住宅瑕疵担保履行法が本格施行されてから10年が経過しました。
この法律は、新築住宅の構造耐力上主要な部分(基礎、土台、柱、梁など)や雨漏りなどの重大な不具合に対して、住宅会社に10年間の保証を義務付ける品確法による瑕疵担保責任の履行が確実に行われることを目的としたものです。

この法律により、住宅会社には保険加入や保険金の供託による資力確保が義務化され、住宅会社が万が一倒産してしまった場合でも、建築主は保険法人に対して瑕疵の補修費用を直接請求することができます。

しかし、保険法人が住宅会社の施工方法に『故意・重過失』があると主張して保険金支払いを拒否するケースや、保険金の額が低すぎるケースなどもあって、見直しが迫られています。

保険金支払いが生じた約70%が1件あたり100万円以下で、事故発生部位のうち93%が雨漏りであったといいますが、あまりにも金額が低いため、安易な補修方法で済まされてしまっていて根本的な改善になっていない事例も多いと思われます。

建築工事には「絶対に安心」はない!

一方、住宅の新築・リフォームに関するトラブルも急増しているといいます。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターに寄せられた2018年度の「電話相談」の件数は32,253件で、前年度から14.6%も増加し、中でも「住宅のトラブルに関する相談」が最も多く64.0%を占めているそうです。

内容は新築・リフォーム共不具合に関するものが多く、新築住宅では築3年未満の築浅物件が半数強を占めていて、「ひび割れ」「雨漏り」「性能不足」「剥がれ」「変形」の順になっています。

一方リフォームでは、「剥がれ」「雨漏り」「性能不足」「ひび割れ」「汚れ」の順になっていて、不具合箇所は新築・リフォーム共に「外壁」「床」「屋根」「開口部・建具」「内壁」「設備機器」が上位になっています。

今年度は、千葉県などで台風被害による屋根の被害が数多く発生しているので、リフォームでは悪質な業者による屋根工事の不具合が増えそうです。

住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、相談を受けるだけで実際に解決するわけではないので、弊社にも住宅リフォーム・紛争処理支援センターでアドバイスを受けた方からのご相談や建物調査依頼が時々あります。
また、建築主とのトラブルを抱えた建築業者から、中立的な立場の専門家としての見解を述べて欲しいとの依頼を受けることもあります。

現場調査を行い、依頼者に修繕方法のアドバイス・助言を行った上で、依頼者のご要望に応じて施工会社や建築主と直接打ち合わせを行うことも珍しくありません。

建築は、現場で人間の手作業で行うものなので、施工ミスはどこの現場でも起こり得ますが、最も重要なのは施工ミスがあった場合の誠実な対応です。
どんなに法整備が進んでも、必ずしも法律で解決できるわけではありません。
特に住宅のリフォームにおいては、新築住宅の様に瑕疵保険加入が義務化されていないので、要注意です。

誠意を持って対応してくれる業者がある反面で、中にはまるで素人の様な業者(リフォーム業者が多い)もいるので、業者選びにはくれぐれも注意して欲しいと思います。

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