レオパレスのアパートで、また新たな施工不良が発覚しました。
今回の問題は、界壁の建築基準法違反に端を発した同社の全棟調査の過程で新たに発覚したとの事です。
いずれも設計図書の仕様と実際に施工された仕様が異なっているため、是正を必要とするものです。
今回新たに発覚した問題は、
1.界壁の内部に発泡ウレタンが充填されていて、設計図書の仕様であるグラスウールまたはロックウールと異なるため、遮音性能を満たしていない。
2.外壁に用いるサイディング壁の下地の間隔等が広く、耐火性能を満たしていない。
3.床の直下の天井が、設計図書では強化石膏ボード12.5mm+ロックウール吸音板9mmとなっているものの、実際に施工された仕様は強化石膏ボード12.5mm+化粧石膏ボード9mmまたは化粧石膏ボード9mmの1重張りになっている。
というものです。
これらの問題は、手抜きというよりも、現場監督や職人が設計図書を見ていない、または遮音性能や耐火性能を認識していないことが原因のように思います。
またこれらの規定は、特殊建築物ではない戸建て住宅にはないものなので、ベテランの現場監督や職人でも、戸建て住宅しか経験がなければ見落としがちです。
現場の担当者に任せっきりで、長年の間、会社としての品質管理体制が全く機能していなかったことが、これほど被害が拡大してしまった原因であることは明白です。
しかし、一般の方にとっては、なぜこの様な問題が次々と起きるのか不思議に思うことでしょう。
実はこうした問題は、他の多くのハウスメーカーでも起こる可能性があるのです。
ハウスメーカーの規格型住宅の問題点
こうした問題は、もちろんずさんな企業体質が大きな要因になっていることは否定できません。
しかし、今後ほかのハウスメーカーでも同様な問題が発生する可能性は決して低くない様に思います。
アパートなどの規格型住宅では、注文住宅などと異なり、現場ごとに詳細な図面を描くことはほとんどありません。
最小限の図面しかなくても、毎回ほとんど同じ仕様の繰り返しなので、現場の進行に支障がないためです。
またたくさんの図面を描けば、それだけ費用もかかってしまいます。
図面とは別に、共通の施工マニュアルなどがあるケースもあるのですが、たいてい量が多くて分厚いので、現場監督が内容を全て理解して大工や職人に指示しているケースなどはごく稀です。
本来であれば、現場監督とは別に監理者(設計者)が現場に出向いて、設計監理を行う必要があるのですが、設計・施工が同じ会社のため、そうしたことが行われるケースもあまりありません。
仮に現場に行っても、現場の担当者に指示ができる設計担当者はそう多くはないでしょう。
また、確認申請の完成検査でもその様な検査を行うことはないので、現場監督や大工が設計図書の内容を良く理解していなければ、この様な問題はいつ、どこで起こっても不思議ではないのです。
実際に界壁の施工に問題がある集合住宅は、私自身も過去に何度も目にしています。
レオパレスの問題が氷山の一角でないことを願いたいと思います。