信頼できるリフォーム業者の最低条件

リフォーム工事に関するトラブルが後をたちません。
弊社にも毎月の様にリフォームの消費者トラブル相談があります。
そしてトラブルの多くはリフォーム業者側に問題があります。

リフォーム業も建設業の一種ですから、当然リフォームを行う業者には建設業許可が必要となり、許可を受けずにリフォーム工事を請け負えば無許可営業で罰せられます。(法第45条第1項第1号)

ただし建設工事のうち、一定の条件下では建設業の許可なく営業し、工事を請け負うことが可能です。
リフォーム工事の場合では、請負総額が税込み500万円未満の場合には建設業許可が必要ありません。
そして建設業法にはリフォーム業という業種区分はありません。
したがって建設業の許可がないと建設業者とは認めてもらえなくても、リフォーム業者、リノベーション業者などと自ら名乗ることは可能です。
つまり建設業法上では、500万円未満のリフォーム工事は誰でもすぐにリフォーム業者を名乗って請け負うことができるのです。

このことはあまり知られていないため、一般の方からはリフォーム会社であれば当然建設業許可を受けているものと思われています。

リフォームには畳の表替えや壁紙の貼り換え、外壁塗装など幅広い範囲が含まれるので、500万円が妥当かどうかは別として、どこかで線引きが行われるのはやむを得ません。

しかしこの制度を逆手にとって、レベルの低いリフォーム業者が数多くリフォーム事業に参入していることがリフォーム工事のトラブルが絶えない原因のひとつになっています。
これらの業者は建設業法の対象外になるので、そのほとんどが建設業法を知りません。
知らずに業法違反となって消費者とトラブルになっても、元々建設業者ではないので罰則の対象になりません。

リフォームは建物の現況を的確に把握して問題点を洗い出し、プランや施工計画に反映させなければならないため、ある面では新築工事よりも高いスキルと技術力が求められます。
そして契約にあたっては、消費者との間で施工内容について適正な書面に基づき十分な合意形成が必要になります。
素人に近い業者や、住宅会社で営業しか経験したことのない業者が、まともなリフォーム工事を行えるはずがないのです。

もちろん建設業許可の取得要件は、建築技術者が在籍しているかどうかだけではないので、許可がない業者の建築スキルが低く、許可業者のスキルが高いとは断定できません。
しかしリフォーム工事のトラブルに巻き込まれないためにも、工事を依頼しようとする業者が建設業の許可を受けているかどうかは最低限確認しておくことをお奨めします。

500万円未満の工事であれば、建設業許可のない業者に発注しても安心か?

そして500万円未満の工事であれば建設業許可不要なので、無許可業者に工事を依頼しても良いともいえません。

たとえばフローリングの貼り換え工事を100万円でリフォーム会社と請負契約を結んだとします。
請負金額500万円未満なので、リフォーム業者に建設業の許可は必要ありません。

既存のフローリングを剥がしたところ、土台が腐っていることがわかりました。
腐食の原因は、どうやら床下に結露が発生した事によるものの様です。

この時適切な対応ができる可能性は、間違いなく建設業の許可業者の方が高くなるはずです。

リフォーム工事で想定外の事態が起きるのは日常茶飯事です。
リフォーム工事を発注する際には、単純に発注金額だけで判断するのではなく、工事の内容に応じて要件を満たす業者なのかどうかをよく見極めることが大切です。

そして少額のリフォーム工事を発注する際には建設業の許可不要であっても、工事内容により社内に建築士や建築施工管理技士などの建築技術者がいるかどうかの確認は必ずしておきたいところです。

また、住宅、リフォーム関連の業界団体に加盟しているかどうかも信頼度の目安になります。
各業界団体では住宅・リフォーム関連情報の発信、リフォームコンテストの開催、会員企業向けの研修などを推進しています。
これらの団体に所属して、様々な情報を積極的に収集し、日々の業務に活かしている業者であれば安心感が増します。

主な業界団体には次のようなものがあります。
・住宅リフォーム推進協議会
・日本増改築産業協会(ジェルコ)
・日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)
・リノベーション住宅推進協議会
・良質リフォームの会
・ベターライフリフォーム協会
・古民家再生協会

今後拡大が予想されるリフォーム市場にあっては、新規参入業者が益々増えることが予想され、費用・施工内容・品質等に関する消費者トラブルの増加が懸念されます。
専門技術者の設置を要さない工事(建設業許可不要の工事)が増えれば当然のことです。

これらの懸念材料を考慮してようやく近年になって軽微な工事についても建設業許可に準ずる仕組みの導入が取り沙汰される様になりましたが、規制強化を急いでほしいと思います。

yjimage[3]

建設業者の建築現場には建築技術者(建築士、建築施工管理技士等の国家資格者)の配置が必要だが、建設業許可のない業者の現場にはその必要がない
このことがリフォーム工事でトラブルが多い原因になっている

千葉市のホームインスペクション専門会社匠住宅診断サービスTopへ戻る