配管材の種類とメンテナンスコスト

先週末は、某大手住設メーカー商社様のホームインスペクション研修に、運営側のお手伝いとして参加させていただきました。
今後の業務にインスペクションを活用したいとの事で、主に昨年新たにホームインスペクターの資格を取得した方たちを対象に、建物診断手法や劣化報告などの実務研修を行いました。
どんな形であれ、ホームインスペクション普及のためには、この様な企業による民間インスペクションの果たす役割は重要だと感じました。

さて、前回建築時期の違いによる建築関連法規の変遷と特長を少し説明させていただきましたが、中古住宅の将来的なメンテナンスを考える上で、給水管材料の変遷とその特徴を知っておく事はとても重要です。

我が国の住宅では1960年(昭和35年)から1970年(昭和45年)位までは、給水管に水道用亜鉛メッキ鋼管が屋内・屋外配管として広く使用されていました。(現在では上水には使用不可)
しかし、経年により管内部に錆が発生し、赤水の被害が多く発生したため、1970年以降には給水管の直管部分には硬質塩化ビニルライニング鋼管が普及しました。(築25年超の住宅では、この配管材が使われている事が多い)
一方、継手部分での腐食は避ける事ができず、高価なステンレス管や硬質ポリ塩化ビニル管(VP)も使用される様になりました。
しかしビニル管は樹脂製なので熱に弱いので、給湯管には銅管が使用される事が多くなりました。

そして1980年代半ばからは、塩化ビニル管の耐久性を向上させて衝撃にも耐える耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)が普及し、さらに近年(2000年前後から)では、より耐久性の高いポリブデン管や架橋ポリエチレン管が使用される様になっています。

給水管の寿命は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によれば、耐用年数15年程とされていますが、実際には20~25年程度は使用可能でしょう。
最新の架橋ポリエチレン管は、耐用年数30年以上ともいわれています。

中古住宅の購入時には配管のチェックを忘れずに!

ここまでの話の様に、建築時期によって配管材の種類が異なります。
そして、建築後1度も配管交換を行っていない場合、配管を全て交換するとなると、室内の配管だけでも30万円位はかかってしまいます。
特に硬質塩化ビニルライニング鋼管が使用されている場合には、近いうちに配管交換が必要になる可能性が高いと思って間違いないでしょう。

築10年超の中古住宅を購入する際に、メンテナンスコストを考える場合には、配管材に何が使用されているのかは見逃せないチェックポイントになります。

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配管材の一例

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硬質塩化ビニルライニング鋼管の継手部分に発生した錆び(築24年の建物)

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