近年の新築住宅では断熱性能を売りにするものが多くなっていますが、こうした住宅にも時々断熱施工の不備がみられます。
特にユニットバスの周辺には施工不良が多いため、注意が必要です。
下の写真は、先日建物診断を行った築2年の戸建て住宅の1階ユニットバス床下の様子です。
図面ではユニットバス下部の空間は基礎断熱仕様で、浴室廻りには気密基礎パッキンが使用されています。
一方、隣室の洗面脱衣室などは床断熱仕様なので、本来であればユニットバスの周囲は全周にわたって断熱材で隙間のない様に覆い、ユニットバス床下に外気が侵入しない様にしなければなりません。
ところがユニットバス下の基礎に設けた人通口には大きな穴が開いていて、床下の冷たい外気がユニットバスの下を経由して壁内や1階天井裏に侵入可能な構造になっていました。
これでは建物全体の断熱効果が極端に落ちてしまいます。
家中の壁の内部や1階の天井裏に床下の冷たい空気が流れ込んで、室内の温度が下がってしまう恐れがあります。
1階に設置したユニットバス下部の基礎断熱の施工不良。
点検時に人が通るための人通口は、本来断熱材などで塞ぐ必要があるが、大きな穴が開いていた。
施工後に何らかの理由でユニットバス下を点検して、穴をそのまま放置してしまった可能性が高い。
ユニットバス周辺の断熱施工の不備に注意!
高断熱住宅なのに冬寒い、浴室が寒い、浴槽のお湯がすぐに冷めるなどの症状があったら、まずはユニットバスの天井点検口を開けて天井裏をのぞいてみてください。
天井裏の空気が冷たく感じたら、床下から外気が流れ込んでいる可能性が高いと思います。
また、施工直後にはきちんと施工されていても、後から設備業者などが断熱材を撤去してしまうこともあるので要注意です。
施工終了時の検査後に配管の点検作業や補修作業が行われ、断熱材が復旧されないケースも数多く見られます。
他にも新築当時は正しく施工されていたのに、リフォーム工事の際に断熱材が撤去されてしまうケースもあります。
設備業者やリフォーム業者の中には、断熱や気密に対する意識が低い業者も数多く存在しています。
ユニットバスの周囲は特に断熱工事の不備が発生しやすい場所なので、工事が完全に終了した後にきちんと確認する必要があります。