工事中に住宅会社が倒産する悲劇

今回の3連休中はホームインスペクションが続きます。今日も午前中は建物調査でした。
建物の調査は、意外とハードです。夏に天井裏などを覗くと、汗の量が半端ではありません。これから暑くなるので、調査中にも水分補給が欠かせません。

さて、住宅会社が経営破綻した場合の顧客への影響は深刻です。
特に、住宅の新築工事中に会社が倒産すると、工事は中断し、そのままでは住むことのできない未完成の住宅だけが残ります。
中断した工事の再開を、どこかの会社に依頼しなければなりませんが、そこでも大きな問題に直面します。

まずは建築費の問題です。倒産した住宅会社に既に支払ってしまった金額ほど実際の工事が進んでいない場合は、過払いした建築費は戻ってこない可能性があります。そうなると、建築費が足りなくなるのは明らかです。
そもそも、工事を引き継いでくれる住宅会社を探すのも容易ではありません。また、運よく工事の引受先が見つかったとしても、工事の保証の問題等もあります。他社から引き継いだ工事を丸ごと保証してくれる会社は、ほとんどないでしょう。部分的な保証でも躊躇してしまうのが普通だと思います。

私は、2009年に富士ハウスが経営破綻した際に、まさにこの問題に直面しました。住宅会社にいた私は、当時富士ハウスで建築中だったお客様から、工事を引き継いで欲しいという相談を受けた事がありました。富士ハウスには、工事を引き継ぐ新会社設立の話もあった様なのですが、富士ハウスとは全く関係のない会社に工事を引き継いで欲しいとの要望でした。

現場を見に行くと、すでに躯体工事が終了していて、ほぼ屋根も葺き終わっていましたが、搬入済みの材料は雨ざらしの状態で、使えそうにもありません。途方に暮れるお客様の様子を見て、手助けをしたい気持ちはあったのですが、工事を引き継いで再開するには、あまりにも障害が多過ぎて、結局お断りする事になってしまいました。

富士ハウスが破産手続きを開始した時点で、すでに着工済みだった物件は700棟以上だったと記憶しています。他にもこの様なお客様が全国にたくさんいたのです。

住宅会社への過払いに注意!

一般的に上場企業の財務状況や業績見込みの情報は開示されても、住宅会社の大半を占める未上場企業の情報が、消費者に伝わる事はありません。富士ハウスの経営破綻の際にも、業界内での噂が個人には伝わっていなかったのです。
今後我が国の新築住宅の着工件数が減少していけば、住宅会社の倒産の可能性は高まります。
注文住宅建築では、契約書を取り交わしてから、建物の完成引渡しまで、半年以上かかります。この間、住宅会社からどんなにお願いされても、必要以上の過払いは絶対に避けるべきです。
富士ハウスのケースでは、着工する迄に6割以上請求されていたケースも多かった様ですが、住宅会社の過払い請求こそ、資金繰り悪化の兆候と見て十分注意するべきです。

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