新築住宅の長期保証の落とし穴

2006年の「住生活基本法」の施行を背景に、国は住宅の長寿命化を推進する様になりました。
大手ハウスメーカーの中には、高い技術力をアピールして50年や60年の長期保証をセールスポイントにしている会社もあります。

しかしこれらの保証は、引き渡し後に何もしないで受けられる訳ではありません。
住宅メーカーの保証は、基礎、構造体、外壁、屋根、雨水の侵入部分、虫害(シロアリ)、付帯設備等それぞれの部位ごとに初期保証期間が設けられていて、住宅メーカーが実施する点検と有償のメンテナンス・補修工事を行って保証の延長が受けられるのです。

初期保証期間は概ね基礎・構造体で20~30年、外壁・屋根15~20年、雨水の侵入部分10~15年、虫害10年、付帯設備5年等が多い様です。
無償で保証が受けられるのは、この期間に限られます。保証の延長を受けるために必要となる補修工事は、全て有償になります。
建物の経年劣化は避ける事ができないので、長期保証を受けるためには、定期的な補修工事を行わなければならないのは仕方ありませんが、問題となるのはメンテナンス・補修工事に「いつ、どれ位の費用がかかるのか」を明確に提示している住宅メーカーは少ないという事です。
メンテナンス・補修費用は、それぞれのメーカーの住宅の構造や仕様、工法などによって大きく違うはずです。
どこのメーカーのどの住宅を建てるのかは、単に保証期間だけで判断するのではなく、メンテナンス費用も含めて総合的に判断すべきでしょう。

住宅は建ててからもお金がかかるもの

もちろん、20年、30年先には物価の変動もあると思われるので、正確な費用を提示するのは難しいと思うのですが、住宅会社は、少なくとも現在の物価水準で、将来どの程度のメンテナンス費用が発生するのかは提示する必要があると思います。
そうでないと、60年保証してもらったのは良いが、結果的に「1棟建て替えるのに近い費用がかかってしまった」などという事にならないとも限りません。

住宅を建てる際に、住宅メーカーの営業マンから長期保証のセールストークを受けたら、保証の延長を受けるためには「いつ、どれ位の費用がかかるのか」は必ず確認しておきましょう。
マンションの場合は、所有者は毎月強制的に修繕積立金を徴収され、定期的な修繕工事に充てられます。
戸建て住宅のメンテナンス工事を行うためには、住宅ローンの返済と共に、補修費用を毎月自分で積み立てておかなければなりません。
「長期保証を受けるためには、累計でいくらかかるのか?」この様な事を含めて、事前にしっかりとした資金計画のアドバイスができない住宅会社の営業マンは信用できません。
我が国の住宅の寿命が短かったのは、住宅会社が建築主に対して、この様な説明をほとんどしてこなかった事も大きな原因です。
家を長持ちさせるためには、建ててからもお金がかかる事を忘れないでください。

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