自然素材の落とし穴

2月に入り、これから住宅現場は繁忙期に入ります。
毎年この時期になると、どこの住宅会社でも職人不足で工期は遅れがちになり、ドタバタが続きます。
現場管理も行き届かなくなりがちなので、施工ミスも多くなります。十分注意しましょう。

さて、住宅新築市場が減少していく中で、ストック市場の開拓に向けて、ハウスメーカーよりもいち早く進出していたのが住宅建材・設備メーカーです。多くの企業がリフォームマーケットに照準を当てて、早くからリフォーム向け商品を開発していました。
一方、業界再編も一気に進んでいます。LIXILグループやTOTO、大建工業、YKKAPを中心とするグループなど各社の特長を活かしたシナジー商品を次々と発表しています。

さて、家を建てたリ、リフォームする時に、自然素材を使いたいと考えている方は多いと思います。
住宅会社やリフォーム会社にも、「自然素材の家」を売り物にしている会社がたくさんあります。
「100%天然素材で建てる家」などと言われると、つい興味が沸いてしまいがちです。
では貴方はなぜ、自然素材が良いと思うのでしょうか?

建材から発生するホルムアルデヒド等の有害物質が原因のシックハウス問題が注目されてから、自然素材の家で健康に暮らす事が一躍脚光を浴びる様になりました。
自然素材の家=健康住宅は今や常識の様に思われています。

しかし自然素材は、本当に全て安全だと言い切れるでしょうか?
私は間違いだと思います。

自然素材の家は本当に安全なのか?

現在では人体に有害とされ、法律で厳しく規制されている発癌物質のアスベストも、実は天然に鉱山で採掘された繊維状の鉱物で、自然素材です。
「自然素材」という言葉のイメージだけで健康に良いと思いがちですが、自然のものだからと言って、全てが安全なわけではありません。自然界には、人体に有害なものもたくさん存在している事を忘れてはいけません。毒性の強い自然素材だってあるのです。

また、健康に良いとされる漆喰にも、安価なものには❛かさ増し❜をするために混ぜるつなぎ材に、化学物質が使用されている事がありますし、珪藻土にも人工の防カビ材が含まれているものもあります。

その他では、輸入木材には、漂白剤や防カビ材などが使用されていますし、畳のい草を染める染料にも、中国産のものには化学物質が使用されている可能性があります。

自然素材には一部の例外を除いて健康に良いものが多いのは確かですが、短所がないわけではありません。
それらの短所を補うために、化学物質や人工素材が加えられる事も多いので、ベースが自然素材だというだけで決して安心してはいけないのです。

住宅会社やリフォーム会社の中には、自然素材に加えられている添加物などをろくに調べもしないで、「健康住宅」とか「エコリフォーム」などのキャッチコピーで営業している会社も散見します。
ひとつひとつの素材についてしっかりとした調査を行い、顧客に自信を持って奨められる裏付けを持った会社でないと危険です。

自然素材を使用する目的は何なのか、自然素材を使用する事で生じる不具合はないのか、どうしても自然素材を使用しないといけない理由があるのか・・等を十分検討して、「自然素材=健康」のイメージだけで安易に考えるのはやめた方が良いと思います。

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旧進藤家住宅(袖ヶ浦市郷土博物館)

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