追加変更工事をめぐるトラブルを防止するために必要な事

横浜市は、杭打ちデーター偽装が発覚した傾斜マンションについて、建築基準法違反を認定する方針を固めたそうです。問題発覚当初は、「大地震で倒壊することはない」との事業主側の報告を認めて、住民の避難勧告の必要はないとしていましたが、今回は一転して「中規模地震で損傷する恐れがある」としています。
三井住友建設と事業主の三井不動産レジデンシャルの検証結果の報告を受けて判断した様ですが、全ての判断基準が事業主側の報告に基づくもので、横浜市としての判断基準が一切ない様に思えてなりません。

さて、注文住宅の建築や住宅リフォームで、最も多いトラブルは追加変更工事に関するものでしょう。
注文住宅やリフォームの契約では、まずは建築主の要望に基づき設計を行い、設計図書に従って見積書を作成するので、最初の計画通りに工事が進行すれば、トラブルになる事はほとんどないはずです。

ところが、工事が始まり、建築主の要望がうまく設計に反映されていなかったり、ちょっとしたイメージの相違などがあると、工事途中に建築主からの指摘を受けて、工事内容が変更になる事があります。また、工事が進んだ段階で、建築主から追加で要望が出たり、リフォームの場合には、当初の設計図面通りに施工ができない事も起こりがちです。

こうした事態になった時に、建築主は、事前に要望を伝えていたので、追加や変更は元々の注文の範囲だと考え、一方、施工業者は、あくまで設計図通りに施工しているので、やり直しにかかる費用は追加工事だと思って工事を行って、後々代金の支払いをめぐってトラブルに発展してしまうのは、典型的なケースです。

着工前の打ち合わせでは、この様な事がない様に、パース(外観や内観の透視図)や、現物見本、サンプルなどを使用してイメージのすりあわせなども行われますが、そもそも建築主は建築のプロではないため、要望がうまく伝えきれていなかったり、実際に出来上がったものを見ると、想像していたものと違っていたりといった事は少なくありません。
また、設計者や施工者の説明不足や勘違いなどもないとはいえません。

工事内容を変更する際には、費用負担を明確にしておく事が重要!

この様な事態を避けるためには、設計や契約の内容の確認を慎重に行う事はもちろんですが、それでも万一着工後に工事の変更が必要となった際には、変更工事に着手する前に、費用負担について明確にしておく事が重要です。

テレビ番組にある様に、はじめに生活していく中で不便な点や困っている点などを、匠と呼ばれる設計士に伝えておけば、あとは工事中に現場に顔を出す事もなく、ただ任せておくだけで「涙が出るほどの感動のリフォームが出来上がる」というのは、あくまでも番組の演出です。実際の住宅現場では、この様な事はありません。
予想外な変貌を遂げた我が家の様子や、びっくりする様な仕掛けに驚嘆しても、出来上がったもの全てに対して満足できるとは限りません。テレビで放映されない部分では、要望がきちんと反映されていない事も数多くあるはずです。

建築主にとって、家を建てたり、リフォームする事は、便利で快適な生活を手に入れる事が目的です。そのために高額な工事費を支払うわけなので、絶対に後悔したくないものです。
住宅会社に任せっきりにする事なく、自分自身でしっかりとした情報収集を行い、自分の目で確認し、疑問点はその都度きちんと解決する事が大切です。特に工事費用については、決して後回しにしてはいけません。

shikikintraburu[1]

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