今月3日に築地市場で起きた火災の原因が明らかになった様です。
原因はラーメン店の厨房の「伝導過熱」の可能性が高いとの事。
伝導過熱による火災発生の危険性は1か月ほど前の「ホームインスペクションガイド」で詳しく説明しているので、そちらをご参照ください。→「台所のコンロ前の壁からの火災に注意!」
伝導過熱による火災は、飲食店に限らず一般のご家庭でも発生する可能性があるので、築年数の古い住宅は特に注意が必要です。
さて、ホームインスペクションには明確な定義がありません。
平成30年4月1日からの宅建業法の一部改正に向けて、国土交通省では建物状況調査(インスペクション)の「調査方法基準」を作成しましたが、これがホームインスペクションの全てという訳ではありません。
今や中古住宅のホームインスペクションでは、電磁波の測定や盗聴器の調査、サーモカメラによる雨漏り調査などをオプションで行っている会社もあります。
様々な会社で独自のサービスを展開しています。
しかし中古住宅のホームインスペクションを行う上で最も重要な事は、建物を点検して不具合の有無を報告する事ではないと思います。
中古住宅は築年数や構造も様々で建てた当時の建築基準も異なるので、当然現在の基準にあてはめて診断すれば指摘事項はかなりの量になります。
不具合は「雨漏り被害やシロアリ被害はないか」、「構造上の問題はないか」だけではありません。
消費者が求めるホームインスペクションとは?
依頼者が本当に知りたいのは、単に「不具合があるかないか」だけでなく、「どんな直し方をすれば最も費用対効果が高いのか」、「直すのにいくら位かかるのか」、「そのまま放置しておくとどんな問題が生じるのか」、「他に近いうちに修繕が必要になるのはどんな事なのか」といった事なのではないでしょうか?
仮に雨漏り被害やシロアリ被害が見つかったとしても、状況次第ではわずかな費用で修理できる場合もあります。
また耐震性能や断熱施工に不備があっても、リフォームに併せて工事を行えば数万円の差額費用で済んでしまう事も珍しくないでしょう。
「雨漏りがあるから購入しない」、「シロアリ被害があるから購入しない」と思っても、直し方次第では予想以上に安価で修理する事が可能かもしれません。
いくら様々な調査機器を使って調査しても、肝心な建物のメンテナンスに関してのアドバイスができなくては意味がありません。
その様な事まで依頼者にしっかりとアドバイスを行う事が本来のホームインスペクターの役割だと思います。
改修工事次第で魅力的な空間になる事も・・・。