温故知新

本来なら取り壊されてしまう築100年近くたった古民家をリフォームしたり移築したりして暮らす人が増えているそうです。夢のマイホームは古民家を手に入れて改修して住む事だと語る人もいます。古民家から集めた古材を再利用してリフォームしたレストランや雑貨店も人気を集めています。最近古民家が密かに注目されています。
私自身も古民家の持つ風格や古材の風合いと木の温もりには心惹かれます。
年月がたつごとに黒光りして重厚さを増す太く大きな柱や梁の迫力を前にすると、現代の家が何だか安っぽく感じてしまいます。
新築の時が美しさのピークで、年を経るごとに色あせてみすぼらしくなっていく新建材で建てられた現代の住宅とは明らかに異なる魅力が古民家にはあります。

古民家と現代の住宅の問題点

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しかし、古民家が取り壊されてしまうのにも当然理由があります。冬の寒さや暗さ、現代のライフスタイルと合わなくなった間取りやその使い勝手の悪さなどです。
実際に住むとなると躊躇してしまいそうです。
リフォームするにもどこに依頼して良いのかわかりません。古民家リフォームの経験豊富な業者を探すのは容易ではありません。。
また、建物を維持していくためのメンテナンスにかかる手間は、現代の住宅の比ではありません。
古民家を構成する無垢材は反りや狂いは避ける事ができず、日常の手入れを怠ると傷んだり腐ったりしてしまいます。
高気密・高断熱化が進んだ現代の住宅と異なり、すきま風や冬の底冷えにも悩まされます。
それでもなお古民家が一部の人達を強力に惹きつけるのは、工場で大量生産された新建材で建てられた現代の住宅に対する
不満があるからでしょう。
住宅性能を数値化して比較したら、古民家は現代の住宅には決して及ばないでしょう。しかし住まいには数値では表せない
安らぎや愛着が求められるものです。

住宅建材の工業化と新建材の開発や高気密化は、シックハウス症候群や結露、室内空気汚染等の新たな問題を引き起こしました。そのため近年では機械に頼らず、設計や施工の工夫で自然のエネルギーを上手くコントロールして住宅内を快適に保つ、「パッシブ」と呼ばれる手法が取り入れられる様になりました。これなどは伝統的な日本の住まいづくりに通じるものだと思います。

住宅は時代と共に試行錯誤を繰り返し、現代に至っています。職人不足と作業効率を優先させた結果、我が国の住宅事情は大きく変わりました。ハウスメーカーの台頭と2×4工法の普及です。
1都3県では在来工法と2×4工法の比率は約4:1になっています。(2014年7~9月 住宅金融支援機構データより)
今後伝統構法はおろか在来工法で建てられる家も年々少なくなりそうですが、伝統的な日本の住まいにもまだまだ学ぶべき
事がたくさんある様に思います。
そして古民家を再生して残す事は建築技術の継承に繋がるはずです。少しでも多くの古民家が再生されて利用される事を願っています。

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