究極の設計とは?

長年人気を集めてきたテレビ朝日系「大改造!劇的ビフォーアフター」が、昨日の放送で最終回を迎えました。
いくつかのトラブルやクレームも抱えてきた様ですが、家族の悩みをリフォームで解決するという番組のコンセプトは新鮮でした。
番組がスタートした当時は、紹介される建築費があまりにも現実離れしていていかにもバラエティー番組という感じでしたが、近年はだいぶ現実的になっていた様に思います。視聴者の目が肥えてきたためでしょう。正しい情報を伝える事は大切です。

さて、住宅の「良い設計」とはどんな設計を指すのでしょうか。
カッコイイデザインの設計、使い勝手の良い設計、快適に暮らせる設計、誰も見たことのない斬新な設計、ミスのない堅実な設計・・・・。
人によって、立場によって異なると思いますが、私が絶対に外せない条件だと思うのが「施工性の良い設計」。
すなわち施工しやすい、施工するのが易しい設計です。
この様に言うと、なんとなく簡単でチープなマイナスのイメージにとらわれてしまいがちですが、これがなかなか難しい事なのです。難しくて誰もができる仕事ではないので、誰も本気で取り組もうとしないのかもしれません。
また苦労してその様な設計をしても、それが良いとなったら簡単に真似されてしまうという欠点もあります。

一方では、職人が「匠の技」を使って、難しい仕事をこなすのがプロの仕事だと言う意見があちらこちらから聞こえてきそうです。
しかし、それにはコストがかかります。コストはいくらかかってもいいから、良いデザインを追求したいというのであれば、一向にかまいません。しかし、本来なら手間暇をかけるべき難しい仕事のコストを削ろうとするから、欠陥住宅が生まれてしまうのです。
見た目はスタイリッシュで斬新な設計でも、施工手順や施工方法の事を何も考えていないで施工者任せにしていては、とても良い設計とはいえません。住宅の設計ではもっと大切な事があるはずです。

欠陥住宅予防で重要なのは、施工性の良さ

施工がしやすく、簡単な家なら、誰が建てても欠陥住宅にはなりません。コストダウンも可能です。もちろん住宅として求められる性能や機能は満たしていなければなりません。これは決して簡単ではない究極の設計だと思います。

建築家が設計した意匠性の高い住宅は、見た目は良くても、施工性がいいとは決して言えないものが多いと思います。だからこれらのデザイナーズハウスと呼ばれるものには、欠陥住宅も少なくありません。
一方、施工が簡単で熟練の技術がなくても、誰でも施工する事が可能なら、絶対に欠陥は発生しません。省施工なので、大幅なコストダウンにもなります。

現場作業の多い住宅は、工業製品や自動車とは異なり、品質のバラツキが特に大きな商品です。
建材メーカーや住宅設備機器メーカーでは、施工性の良さ、施工の簡単さは商品開発上の重点項目です。
それと同じ事が住宅の設計でもいえるはずです。

住宅のデザインや意匠性ばかり追求するのではなく、施工性の良さを徹底的に追求した住宅の設計を目指す建築家がたくさん登場する様になれば、住宅の品質や性能も安定して、欠陥住宅被害もなくなるでしょう。

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