ホームインスペクターには中立性、第三者性が欠かせないとされています。
ホームインスペクターが不動産売買の意思決定に関して顧客を誘導したり、リフォーム工事を受注するために有利になる報告をしたりすれば、ホームインスペクションの信頼はたちまち失墜してしまいます。
日本ホームインスペクターズ協会の倫理行動規定でもホームインスペクターの中立性に関して、「中立性の堅持に務め、客観性、信義誠実を旨とし、公正な立場から行動、発言しなければならない」と定められています。
またホームインスペクターは、依頼者の紹介を受けたり、依頼者を紹介したことに対する謝礼その他の対価を支払ったり受け取ってはならないとされています。
以上の事から、ホームインスペクションは不動産業、建築業、リフォーム業、建築設計などを行っていない住宅診断・調査専門の第三者のホームインスペクターに依頼するのが理想でありベストだと思われます。
ホームインスペクションを依頼した会社が実は診断を依頼された住宅の建築に関わっていたり、住宅の媒介を売主から頼まれているにもかかわらず、そのことを依頼者が知らなかったなどと言う事も起こりかねません。
この業界は意外と広そうで狭いものです。
ホームインスペクターの問題点
しかし実際には、住宅診断・調査専門のホームインスペクターは探してもほとんどいないというのが実情です。
私の知る限りほとんどのホームインスペクターが建築設計、リフォーム業、不動産業などの副業としてホームインスペクションを行っています。
その理由は、ホームインスペクションのみでは会社の運営や生活が成り立たないからです。
実のところ私自身もホームインスペクションで得られる収入よりも、リフォーム会社のコンサル、研修などで得られる収入の方がはるかに多いのが現状です。
国で推進している中古住宅流通の活性化が大きく進んでいない事、ホームインスペクションの認知度や需要もまだまだ低い事などによって、ほとんどのホームインスペクターが依頼を受けるホームインスペクションの仕事は、月1件程度あれば良い方だと思います。
中古住宅の購入を考えている方にとって、物件購入前にホームインスペクションを利用する事は非常に良いことなのは間違いありません。
今後益々ホームインスペクションの普及活動や啓蒙活動もホームインスペクターの重要な仕事となるでしょう。
そのためにも、ひとりひとりのホームインスペクターが顧客の信頼を裏切らない事が大切です。