最近よく耳にする「リノベーション」という言葉。
「リノベーション済マンション」とか「リノベーション専門会社」とか言われていますが、そもそも「リノベーション」と「リフォーム」とでは、何が違うのでしょうか。
一般的には、比較的大規模なリフォームが「リノベーション」で、規模の小さなものが「リフォーム」というイメージだと思います。
そして、「リフォーム」というよりも「リノベーション」といった方がカッコ良くて、何となくデザイン性に優れていて、凄い工事を行った感じがします。
「リノベーション」(renovation)とは、もとは単に建物を原状回復するだけでなく、建物の機能や性能を高めて、物件価値を向上させるための工事のことをいうものでした。
デザインなどのソフト面に加え、基本性能の向上などのハード面の充実が伴ってこその「リノベーション」です。
広い意味では、建物の用途を変更して有効活用をはかるコンバーションなども含まれます。
物件価値の向上とは、賃貸物件であれば家賃が上がって収益力が向上する、自己居住用物件であればリフォーム瑕疵保険の付加や住宅履歴情報の登録などが挙げられます。
一般の「リフォーム」と区別するために使われ出したもので、当然プランニングから施工管理まで、相応のスキルを持った専門家が行っていた仕事でした。
業者によっては普通の「リフォーム」も「リノベーション」と呼んでいる!
しかし、「リノベーション」と「リフォーム」には明確な定義があるわけではありません。
どちらの名称で表現しても違法になるわけでもないので、それをいいことに不動産会社やリフォーム会社、メディア、雑誌(建築系以外)などがそれぞれの解釈で自分達の都合のいいように使い分けているのが現状です。
「リフォーム」というよりも「リノベーション」と呼んだ方が顧客に好印象を与える事ができるので、近年ではほんの少し内装の模様替えをして、まるで張りぼての様な飾りつけをおこなっただけでも「リノベーション」と呼ぶモラルの低い業者も存在しています。
これでは一般の方の誤解を招き、混乱させてしまうのも当然です。
一方、近年では「DIYリノベーション」などという奇妙な呼び方も珍しくなくなりました。
そもそもDIYで建物の機能や性能を高めることなどあまり期待できないので、「リノベーション」の元々の意味とは全く異なります。
消費者はますます混乱してしまうでしょう。
業者が「リノベーション済マンション」とか「リノベーションの施工実績が豊富」などといっても、あまり信用できません。
「具体的にどこをどう改修して、改修前と比べて何が向上したのか」よく確認した方が良いでしょう。
「リノベーション」と呼ばれていても、普通の「リフォーム」と何ら変わらないことも多いので、あまり呼び名にはこだわらない方が良いと思います。