賃貸住宅オーナーが知っておくべき建物のこと

コロナウイルス感染拡大が一向に収束する気配が見られない中ですが、なぜか4月は建物診断の依頼が例年以上に数多くありました。
建物診断は人と接する機会が少ないので感染リスクは低いと思われるものの、東京都内をはじめとして首都圏での調査が多いので、感染予防には十分な注意を払いながら業務にあたっています。

さて、賃貸住宅のオーナー様にとって欠かすことができないもののひとつに建物のメンテナンスがあります。
建物や設備の劣化は完成した時から始まります。
劣化の進行に伴って必要になるメンテナンスを怠ってしまうと、空室が増えたり、家賃が下がったりするだけでなく、あとで想定外の高額な修繕費用がかかってしまうリスクを背負うことになります。

したがって定期的なメンテナンスの必要性が生じるのですが、それにはまとまった費用がかかります。
賃貸経営はひとつの事業なので、「収益を上げる」ことが目的です。
メンテナンスに費用をかけることは必要ですが、かけ過ぎは絶対に避けたいところです。
そのために賃貸住宅のメンテナンスには、最適なタイミングで最も安価かつ最大の効果を発揮することが求められます。

適切なタイミングでメンテナンスを行うためには、あらかじめ修繕計画を立てて毎月修繕費用を積み立てておく必要があるのですが、その標準となる一戸当たりの金額は日本賃貸住宅管理業協会によると、1LDK~2DKで毎月5,000~6,000円、2LDK~3DKで7,000~8,000円だそうです。
この金額は、分譲マンションの修繕積立金の適正額(専有面積1㎡あたり月額200円)で計算したものよりも若干安くなります。
分譲マンションの場合は自分の資産なので、そのことを承知して物件を購入していますが、賃貸住宅のオーナー様の場合は建物全体の修繕費用をひとりで負担しなければならない点が大きく異なります。
また事業として行うものなので、常に「費用対効果」を優先して考えなければなりません。
すなわち、最低限の費用で最大の効果を得ることがより強く求められる様になります。
ではどうすれば最も効果的に建物のメンテナンスを行うことができるのでしょうか。

賃貸住宅の修繕費を節約するためには、定期点検と予防メンテナンスが不可欠!

人間のからだが病状が悪化してから治療を行うと大手術や長期入院が必要になるのと同じ様に、建物も経年劣化が進行してから修理すると、高額な修繕費用がかかってしまいます。
建物も人のからだと同様に不具合箇所や故障しそうな箇所を早めに見つけてこまめに修理しておくことで、修繕コストの大幅な削減につながるのです。
したがって適切な予防メンテナンスを行うための「定期点検」が不可欠になります。

また建物は人間のからだと違って、構造や工法、仕様などによって、経年により劣化する部位がある程度決まっているので、定期点検箇所や修繕計画が立てやすいという側面があります。
屋根や外壁、防水は10年ごと、給排水管や住宅設備機器は20年後、シロアリ駆除は5年ごとといった具合に修繕計画を立てて、事前に定期的な点検を行っておくことで想定外の支出を抑えることが可能です。
さらに、新築時やリフォーム時に耐久性の高い素材や工法を採用することで、メンテナンスサイクルを大幅に延ばすこともできます。
屋根や外壁のメンテナンスサイクルを10年から15年、20年に延長できれば、築20年目までのメンテナンスコストを大幅に削減することが可能です。

一方賃貸住宅では、屋根や外壁の大規模修繕を定期的に行っていても、20年後には間取りや設備の陳腐化が原因で入居率の低下や家賃の値下げは避けられません。
つまり賃貸住宅で高収益を上げるためには、収入が極端に減る20年目からの運営方法を事前に考えておくことが大切です。
新築時にできるだけメンテナンスサイクルが長い建材を採用し、こまめに点検を行ってその都度適切な予防メンテナンスを行うことで、大きな支出が抑えられます。
結果として20年後のリノベーション費用を蓄えることができます。

管理会社や不動産会社から途中で修繕を奨められても、必要な予防メンテナンスをしっかりと行っていて20年後のリノベーション計画が明確な場合には、自信を持って工事を先送りする判断が下せます。
このように賃貸住宅で収益を上げるためには、あらかじめ長期的な運用計画を立てて管理会社の言いなりにならずに、年1回程度の定期的な点検(管理会社以外の第三者が望ましい)と予防メンテナンスをしっかりと行うことが重要になります。

弊社では第三者の専門家としての中立的な立場から、賃貸住宅のオーナー様向けの定期点検や長期修繕計画立案などをはじめとして、様々なご相談も承っております。
・管理会社から修繕が必要と言われたが、すぐに工事を行わなければならないのか?
・今まで管理会社の言い値で修繕工事を行ってきたが、価格は適正なのか?
・管理会社のリノベーション提案内容(工法、仕様等)は適正か? 他にもっと良い方法はないのか? ・・・・等々

お気軽にお問合せください。

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